第63話
そういうと、安曇はバイクに跨がって舌打ち混じりに言い捨てる。
ヘルメットを被る前に、取り敢えず顔だけは見ておきたい。
好奇心に負けて顔を出そうとすると、視界一杯が帝の手で埋まる。
顔を鷲掴みにされて、握りつぶされそうになって必死に抵抗しているうちにバイクのエンジン音がして、指の隙間から走り去ろうとするヘルメットを被った男が見えた。
男はそのまま私たちが歩いて来た道へと向かって消えていった。
「こっちの世界に深く関わるな。」
『それは、私のため?』
「荷物はこれ以上増やせない。」
『狡いなー。』
その言い方じゃ、優しすぎるよ。
荷物になるってことは、何かあったときは守ろうとしてくれるってことでしょ?
私を危険に合わせないため、帝たちの負担も減って杏璃の心労も軽減するだろう。
『努力します。』
「お前は竜巻だ。」
『あ、それ前にも言われたことあるー。お前は竜巻体質だってさ。失礼しちゃうよね。』
可哀想なものを見る目をされたが、気にせずホテルへの道を進んだ。
この時、私も帝も竜巻体質の恐ろしさを───…。
≪紫苑side end≫
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