第51話

昼の日程を終え、宿泊するホテルで夕食も済ませた後の自由時間。

風呂は部屋で済ませ、一人ごろごろと芋虫状態で毛布にくるまっていた。



なんだったんだろうなー。

あの、昼間の視線。

ねっとりしてて気持ちの悪いものだった。

私にだとしたら、私の大切な宝物たちに届く前に排除する必要がある。

しかし、私に怨み辛みがある奴がここを特定するのは無理な話だ。

私と“あっちの私”は全くの別人で、私が私であるのを知るにはそれこそ組織を呑み込んで上層部を吐かせなければならない。

そんなことが出来る組織は現段階で存在しない。

その前に、組織は柔ではない。



ではやっぱり、帝や杏璃たちなのだろうか。

彼等も族の世界にどっぷり足を突っ込んでいる上に、大将でもあるのだから狙われるのは必然。

私がここに来た目的を、あんな得体の知れん奴に邪魔されるのは腹立たしいことこの上ない。

しかし、彼等の問題は彼等で解決しなければならないのも筋。



『うーん……』



「何唸ってるの。」



『お!おかえりー』



大浴場から帰って来た透は、私が芋虫をしているベッドに腰を下ろし、ミネラルウォーターを開けてがぶ飲みし始めた。



『真白は?』



「【神王】の奴等と売店。それよりも、その溜め息の原因は昼間のフルフェイス?」



『透も気付いてた?』



「たまたま見えた。」



もしかしたら帝と杏璃も気付いてたのかな。

そもそも、私を狙ってきた奴があんな分かりやすいわけないよな。



「紫苑、今まで何してたの?」



『どうしたの、急に。』



「あんな微かな殺気、普通の女の子が気付かない。」



『透は“普通”の女の子じゃないの?』



「私の実家、分かるでしょ?」



『だよねー。私からしたら私は“普通”の女の子で、透も“普通”の女の子だよ。』



「……そう、」



芋虫の体をムササビのように広げ、そのまま透を巻き込んでまた芋虫に戻った。

もがく透を羽交い締めにして、無防備な脇を擽る。



「やめっ!……くっ」



『かーわい』



「ぶっ殺す」



『怖いなー』



攻防を繰り返していると、部屋がノックされて返事をする前に扉が開いた。



「とーる!遊びに来たよー!」



「居ませんね。」



「……なんだ、この芋虫」



透の友達らしき人物数人が、部屋に入ってきてベッドに近寄ってきた。

この声前に……



『やっほー』



「「うわっ!」」



「アンタ、【神王】の!」



やっぱり、聞いたことある声だと思った。

生徒会の透のお仲間さんたちだ。



「っ……ぐるじ、」



「「「透!?」」」



『あ、ごめんごめん。』



「殴る」



『ごめんってば。』

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