闇王

第50話

A国首都の寂れた路地────



オレンジ色の街灯の騒がしいbarが一軒。

渋くてダンディーなおじ様マスターは、騒がしい店内には意識だけ向けてグラスを拭いていた。

そのマスターが立つカウンターの奥には、一つの扉がある。

扉を開けると下り階段があり、そこを降りていくと煉瓦の壁。

そこは、選ばれた特別な人物たちだけが出入り出来る秘密の場所。



灯されたビリヤード台の隣には、ソファーがテーブルを挟んで2つと誕生日席に椅子が一つ。

ビリヤード台の奥には、丸い木のテーブルが一つと椅子が6つ。

その周りを麻雀台やら暇潰しのゲームや壁一面に沿った本棚がある。



「なんじゃこりゃ!」



スーツ姿の長身の黒髪男と、カジュアルな服装の金髪男が部屋に入ってきた瞬間声を上げる。



「マオ、使ったものは戻せ。」



いつもなら整頓された部屋が、飲食物のゴミや読み終えた本や資料の紙でごった返していた。



「……力出ない。」



「なんだ?マオたんはもう寂しいのか?」



散らかした当の本人を叩くと、ソファーで寝転がっていた体を起こして叩いてきた黒髪スーツ男を睨み付ける。



「当たり前だろ!連絡くれないし!」



「てめぇからすりゃいいじゃねぇか。」



「……邪魔したくないし、」



力無く語尾が小さく萎み、憂鬱な溜め息を溢して項垂れた。



「喜ぶんじゃないかな。」



「うん、だって優しいもん。でも、こっちのこと気にかけさせたくないから……もうちょっと我慢する。」



金髪の男が頭を撫でると、照れたようにそっぽを向いて小さく笑った。



「それより、あっちはまだなのか?」



「うーん……それが、ピクリとも。俺たちは待つことしかできないよ。」



「はあ……ここも静かだな。」



「そういえば、話戻るけど天樹は連絡したみたいだよ。しかも初日に。」



「はあ!?俺がこんなに頭抱えて我慢してんのに何抜け駆けしてんの!?しかも初日かよ!!」



「マオ、落ち着けよ。」



鼻息の荒くなったマオを鎮める金髪男と、会話を聞いてケラケラと陽気に笑いながらスマホを弄りながら向かいのソファーに腰を下ろす黒髪スーツ男。



「んじゃ、俺はメッセージいれてやろうかなー。」



「ああ!?チカずりぃぞ!!」



「てめぇは我慢するんだろ?レオも聞いてたよな?」



片方の口角と眉を上げ、挑発するようにマオをからかうチカ。

そしてそれを見て悪戯っ子の笑みを浮かべるレオ。



「うーっ!!じゃあ俺も……ちょ、レオ!!」



「部屋を片付けるまでスマホは預かるよ。」



「そんなーっ!!!」



片付けの合間にメッセージのやりとりをわざと自慢するチカと、サボらないように監視するレオンによってマオの掃除は深夜まで続いた。





───親愛なる我らの女神様は、どんな夜をお過ごしですか?




───────

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