第47話

『あの二人、やっぱりモテるんだね。』



「そのようね。」



いつの間に買ってきたのか焼きそばを食す透が興味のない相づちを打つ。

その隣でびしょびしょのワンピースの水分を絞り出す。



『なんで彼女いないのかなー?格好いいのにな。』



「だからじゃない?」



『え?』



「紫苑はスペックだけで寄ってくる男を好きになる?」



『ならんわ。あーなるほどね。』



ワンピースを畳み、もう一度二人に視線を向ける。

杏璃が友人たちに囲まれて楽しそうにしているのを、帝とBくんが少し離れた濡れない場所で話ながら見ている。



『あそこのグループは【神王】なんでしょ?だったら、透はなんてところなの?』



「……なんで分かった?」



『そうなのかなーって思っただけ。合ってたんだね。』



透と帝たちの間にある独特な雰囲気とか、多分この前会った生徒会メンバーは透と同じ族。

干渉し合わないけど、情報は目敏く集めてる感じもあった。



「私たちは【天王】って連合の中で一番小さい族。」



『てんおーね』



「【天王】のキング様は、従者たちといなくていいんですか?」



背後から忍び寄って、会話に割り込んできた相手を振り返ると、そこにはAくんがへらりと笑っていた。



『おー、Aくんだ。』



「Aくん?え、俺のこと?」



『うん、だって名前知らない。』



「あ、そっか。俺は羅威。君が杏璃たちのお姉ちゃん?」



探るような目を向けてくる羅威の目を見つめ返し、大きく頷いた。

表情一つ動かさない相手に、負けじと食らい付く。



「……変な女。」



『失礼な!』



「やっぱ変。君さ、俺たちが【神王】って知ってるんだよね?」



『まあ、』



「取り入ったり、媚ったりしないんだね。」



『【阿修羅連合会】とか【神王】とか【天王】とか興味無いから。』



「じゃあ、何しに来たの?」



羅威の冷えきった侮蔑の目を見つめ返し、へらりと笑ってみた。 案の定、不快だと顔にかかれてしまった。



『それを、君に言う必要性が私には分からないな。』



「帝と杏璃に何かあってからじゃ困る。」



『それは私も困るよ。大いにね。』



へらり顔を引き締めて、値踏みをするように羅威を見ていたら自然と声が低く空気が冷える。

私たちの空気感の変化を、帝たちが気付かないはずがない。



「紫苑。」



『ん?どったの、とおるん。』



透に呼ばれてへらりと笑うと、羅威に怪訝な顔をされてしまった。

そして透には呆れた顔をされた。



「紫苑?羅威?」



「緋埜ー、お昼買いにいこー!」



Bくんの腕を引いて、杏璃と帝に手を振って羅威はお店の方に行ってしまった。

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