第48話

「しーちゃん、大丈夫?」



『ん?何が?』



「羅威くんが怒ってたから……」



『全然へーき。喧嘩とかしてないから。あー私も焼きそば食べたいなー。真白も買いに行く?』



「紫苑。」



怖い顔の杏璃たちから逃げようとしたが失敗。

真白は透に連れられてお店に行ってしまった。

そして、その離れた後ろを背の伸びたら弟に挟まれて歩く私。



「羅威が変なこと言った?」



『なにも?』



「何もって……怒ってたじゃん。素人目には羅威が怒ってたように見えるけど、誤魔化されないよ。」



『怒ってないよ。お互いに。でもね、二人の友達が、二人のこと大切に思ってくれてることに嬉しかったんだよ。』



友人が二人が大切にされてるのは、二人が同じくらい友人を大切にしてきたから。

それを見ることができて、嬉しくて嬉しくて……でも、私の事情にずかずか踏み入ろうとしたことに腹が立っただけ。



『ごめんね、勘違いさせちゃったみたい。』



両手を合わせて二人を見上げると、二人ともそっぽを向いて溜め息を吐き出した。

納得するしかないか、と呆れたようなそれに苦笑いで答えた。



「てかさ……」



杏璃が私を上から下へと凝視して渋い顔をした。



「その水着、誰の趣味?」



『……さあ?似合ってないのは自分でも重々分かってるんだけど……さっき君たちにワンピースをお釈迦にされてしまったものですのでね。』



わざと罪悪感を埋めつけるような意地悪な言い方をした。

だからと言って、杏璃と帝に怒っているなんてことは全くもってない。

可愛い悪戯じゃないか。

むしろ愛しさが溢れてくるじゃないか。



そんな私の心の中を露知らず、顔を見合わせた二人は同時に私の肩に自分のパーカーを着せようとしてぶつかり合った。



「帝は帽子も貸したんだから、ここは俺が責任持つよ。」



「冷え症のくせして無理すんな。」



「帝こそ、寒いの苦手じゃん。」



「弟は黙ってろ。」



「俺より数分早く出てきただけで兄貴面すんな。」



火花散らす二人の取っ組み合い。

全く何がしたいのやら、この弟たちは。



いつの間にか、話し合いは明後日の方向へと話題を変えてパーカー掛けとなった私は置いてきぼりだ。



『はぁ……じゃあ、ここは杏璃のパーカーをお借りしようかな。帝には帽子借りちゃったもんね。』



帝のパーカーは帝の肩に戻し、杏璃のパーカーに袖を通すとだいぶ大きかった。

杏璃でも大きかったのだから、私に大きいのは当たり前なのだが、昔は私よりも小さかった末っ子がいつの間にか逞しく成長している感動に胸が小躍りする。



『優しい弟に挟まれて、私は幸せ者だね。ありがとう。』

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