第44話

杏璃のプチ行方不明も解決して、私たちは宿泊するホテルでみんなと合流した。

結局、何故機嫌が悪かったのかは教えてもらえなかったが、杏璃の機嫌が元に戻って良かった。



『あー……いっそ海水浴も終ってくれていたら良かったのに。』



「もうすぐ点呼だよー!」



『あーい』



ホテルは三人部屋で、私と透と真白は同室になった。

二人は既に着替えも終えて、真白はワンピースで透は短パンとパーカーを着ていた。

だから、私は二人がどんな水着を着ているのかは知らない。



ああ、杏璃の捜索がもっと時間がかかっていれば、海に入らずにすんだのかもしれない。

そんなこと言ったらバチが当たりますね。



それにしても……改めて水着を着てみた自分を鏡で見るが、ほぼほぼ下着じゃん。



『水着と下着の違いってなに。』



「素材。」



『恥ずかしくない?布の面積的に』



「誰もアンタの水着なんか楽しみにしてないから早くしろ。」



透に急かされながら、去年だか一昨年にプレゼントされたロングワンピースを上から被った。

そして、必要最低限のものを持ち、一足先に部屋を出た透の後を真白と追いかけたのだった。



「しーちゃん、日焼け止め塗った?」



『背中以外。真白塗ってくれる?』



「うん、いいよ!」



真白はそう言いながら、日焼け止めの容器をシャカシャカと振った。

そして、三人で砂浜の前の海を一望できる広間でクラスごとに点呼をして早速自由行動になった。

パラソルの下で水着になることなく、頭にタオルをかけてお茶を飲む透の横で背中だけ日焼け止めを塗ってもらう。



『あんがと』



「いいよ!……しーちゃん美白……スレンダー」



『そうかな?』



ペタペタと真白がウエスト辺りを触るから、擽ったくて身を捩る。

そんな私たちの真ん前にしゃがんで真面目な顔で頬杖をつく大門とBくん。



「いいわー羨ましいわー。真白替わって」



「だめー!大ちゃんまた厭らしいこと考えてるでしょ!」



「当たり前だろ?健全な高校生男子なんだから!」



私たちに胸を張って堂々と高らかに己の主張を公言して、誇らしげに笑う男に溜め息を吐き出した。

真白も呆れた顔をしている。

そんな大門の真後ろに、優しい微笑みを浮かべて握り拳を振りかざす杏璃が現れ、私たちの視線が杏璃に向く。

大門が自分の背後に視線が集まったことに気付くことなく、真白の手から日焼け止めを引ったくった瞬間だった。



「見境なさすぎっ!」



ゴンッ、と鈍い音が鳴って、痛みに絶叫する大門とこめかみに青筋が立っている杏璃さん。

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