第39話
杏璃の可愛さに悶えたのもあるが、きっとそれよりも罪悪感が強い。
想像してしまったのだ。
彼等はどんな表情で、どんな思いで私が出ていったことを知ったのか。
空白の時間、どんなことを考えていたのか。
彼等があまりにも、自然に私を受け入れて私はそれに胸を撫で下ろして浸っている。
そんな今も、彼等は何を思っているのかを私は知らない。
考えることもしようとしなかった。
「否定してくれたのに……なに?その間。」
『え、ううん……なんでもないよ。』
「そ?じゃあ、同じバスに乗ろう。」
『あれ、クラスじゃないの?』
「もうゴチャゴチャになっちゃうから大丈夫。」
杏理の言ったように、同じクラスのはずの子が多分他のクラスの友人と別のバスに乗るのが見えた。
なるほど、こういうものなのか。
『うん。』
「紫苑ちゃーん!お隣座ろー?」
大門が背後から私の両肩に手を置いて、にっこりと女子受けする甘い顔をする。
うわー、女たらす時の潤と同じ顔してるよ。
「大門、駄目だよ。」
「えー!杏璃には関係なくない?」
「関係ある。」
私の肩に置かれた大門の手を締め上げ、優しく微笑む杏璃の背後に私には死神が見える。
なんだろ、目が笑ってないんだよね。
大門は顔を引きつらせ、杏璃から視線を反らして拗ねた顔をした。
「やっぱり……先に手ぇ出すなんてひでぇよ!俺が狙ってたの知ってるだろ!?」
「大門が狙ってるからだよ。それに、手なんか出してない。」
「は!?意味わかんねぇ!」
「杏璃くん、大門だけ知らないよ。あの時聞いてなかった。」
初めて見る人だから、同じクラスじゃない杏璃たちの友人Aくんがお菓子片手に杏璃の隣に並ぶ。
美少女と見間違えそうになるが、格好と体つきからして男の子だ。
「俺、一人で座る。」
私たちの横を、これまた杏璃たちの友人と思われるBくんが通り抜けてバスに乗っていった。
「俺が知らないって!?なにが!?」
「その話、バスの中でもいいんじゃない?時間ないから早く乗るよ。」
『私も関係無さそうだし。透待ってー真白行くぞ~。』
「うん!」
終わりそうにない会話から逃げることが出来て、手を置かれた肩をほぐす。
バスに乗り、軽くもめた後に一番後ろの席の5人席に透、私、真白が座った。
真白の隣に大門とそのお友達Aくん。
大門たちの前の席に帝と杏璃が座った。
私たちの前の席には、お友達Bくんが一人で寝転がって早速夢の世界へと旅立っていった。
『透、真白ー楽しみだね。』
「うん!」
「私、寝るから。」
ドライな透は、杏璃たちと会ってから不機嫌な顔をしている。
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