第32話

バイクは物陰に止め、真白がいると思われるGPSが示している倉庫へと向かった。



「……っ!──!!」



「──…、~!~っ!!」



少しだけ開いた扉の隙間から、中の様子が見える。

男たち3人が真白の自由を奪い、一人が上に跨がっている。

それを女3人が高みの見物のように罵声と暴言を浴びせているという、なんとも性格の悪さの際立つ構図。

女3人は、初日に真白と揉めてた人たちだ。

真白の服は乱れているが、まだ暴行を受けているようには見えない。

頬は赤く紅葉がついているが、さっきまで頑張って逃げていたのだから。



きっと、誘拐されて女に叩かれ、そして逃げた。



「誰もアンタなんか助けに来ないわよ。」



リーダー的な女の決め台詞が聞こえて、今だ、と透の肩を叩く。



『フード忘れないでね。』



「はいはい。」



『そんじゃ、行きましょ!』



私たちは物音を立てずに女たちを通り抜け、男たちの首根っこを引っ張る。



「ぐぇ」



「うぐ…っ!」



透に関しては前髪を引っ掴み、ぶちぶちと嫌な音を立てていた。

突然登場したフードを被った謎の人物が大男を一人二人ずつ引っ付かんで外へと連れていくのは、高飛車で自分達の手を汚さない女たちに恐怖と困惑を植え付けるには十分すぎるだろう。



喚く男たちを引きながら、振り返って少しだけ見える真白に顎で合図した。

「女たちは、自分で決着つけろよ」と。

彼女たちに人を殴る蹴る度胸はない。精々平手打ち。

言葉で毒を吐き、出来ないことは男たちに声をかけて痛め付けようとなんて……そんな奴等に負けんじゃねぇぞ、と。



透と二人で男たちは一発殴り飛ばして気絶させて地面に放置。



『さ、移動!』



「めんど」



倉庫から少し離れたバイクの所に移動するのと入れ違いに大量のバイクが駆け付けた。

杏璃と大門を先頭に、十数人が倉庫の中に駆け付ける。

しかし、ツートップの内の一人は後ろで優雅に闊歩して、倉庫には入らずに外に転がった男たちに近づいた。



「帝?どうったの?」



「……コイツらは連れていけ。誰がやったのか吐かせろ。」



「あいよ。」



真白を連れて駆け付けた帝たちが去るのを待った。

男たちは連れて行き、青い顔をして怯える女たちは放置していくようだ。

全員が去ったのを確認して、透と二人仰向けに寝転がる。



『はー、ちょっとドキドキした。』



「有田真白が捕まってると分かって、あなたは彼女のGPS情報を匿名でNo.2の櫻小路杏璃に送り、事を伝えた。そして彼等より先に出て、有田真白が男からの暴行を受けないようにした。……で?筋書き通りになったわけだけど、一つだけ聞きたいことがある。」

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