第31話

へらりと笑い、透に視線を向けると、一緒に座っている彼等の警戒心が和らいでいる気がする。



『なに?』



「アンタ、【神王】って聞いたことないの?」



『さっき聞いた。で、なにそれ?』



アンタと呼んできた美少年に聞いたが、顔に面倒くさいと書いてある。

よくよく見ると、ここにいる人たちの顔面偏差値の高さが恐ろしくハイスペック。

美少年の代わりに、透が机の上のクッキーを一口食べてから説明してくれた。



「ここの学校の生徒って、大半がある族に所属しているのよ。それが【阿修羅連合会】って言うんだけど、連合は4つの族で出来ている。その内の一つがアンタのところの弟がツートップで仕切っている【神王】。有田真白はその【神王】の守られるお姫様ってこと。」



「「「弟!?!?」」」



声を揃えて驚愕する男たちを無視して、指は忙しなく動き目だけは透を捕らえて話さない。



『その、あしゅられんごうって4つのグループは仲良いの?』



「昔はね。今はお互い干渉しない。」



透は【阿修羅連合会】という奴の関係者なのだろう。他人事ではなく、関係ある口振りに聞こえた。



「有田真白と言えば、【神王】幹部とメンバーたちから相当な溺愛を受けてるらしいけど……色んな噂もある。」



透の言葉に、黒髪眼鏡男が付け加える。

出会って間もない真白のことは知らないことばかりだが、その人たちが溺愛したくなる理由はわかる。

無性に愛でたくなるんだよね。犬猫を撫でたくなる愛情的な感覚みたいな。



『噂?』



「櫻小路帝と杏璃とは不仲、とか?信憑性はない噂。」



トップと不仲なら、守られるお姫様って可笑しくないか?

だから黒髪眼鏡男も“噂”と最後の言葉を強調したのだろう。



阿修羅、連合、ツートップ、神王、お姫様……成る程ね。

調べものも終わり、パソコンを“お掃除”して立ち上がった。



『透、お願いがあるんだけど。』



「……私、今日は早退する。後はよろしく。」



部屋を出て、教室前のロッカーからパーカーを取り出す。

透も自分のロッカーからフード付きのパーカーを取り出し、それを着る。

透に聞いて備品部屋にある余っている制服のズボンも拝借した。



『やること分かってる?』



「ざっとは。一応、アンタの筋書きを聞こうじゃない。」



早足に校舎を出て私の愛車に跨がり、透にヘルメットを被せてから発進させた。

大体の筋書きは移動中に話し、目的の外れの倉庫へと到着した。



「でも、有田真白もそろそろ捕まるんじゃない?」



『多分、今捕まってる頃だと思う。GPSが動かなくなった。』



「GPS…、」



『調べただけで、すぐに消しますよ。』

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