第30話

再度かけ直しても、真白は出なかった。

寝ているだけかもしれないし、と携帯をおいた直後に画面が光って着信を知らせる。



『ん、真白かな?』



透の透かした笑みを睨み付け、携帯を見ると真白ではな発信元の名前。



『……うわ。』



「誰。」



『……大門ってやつ。』



「ああ、アンタの弟たちのお仲間さん。」



『え!そうなの?』



あの声がでかい頭の軽そうなチャラ男と……つるんでいる姿が想像もできない。

しかし、天使のような真白とは仲良さそうに話していたな。



『……はあ。もしもーし。』



「あ、やっと出た!ねえ、真白から何か聞いてない?」



『何かって?』



初日のチャラさが薄れた、焦った真面目な声音に嫌な予感がする。



「今日風邪引いたとか、」



『聞いてない。電話も出ないし』



「やっぱりか。ありがとう、またね。」



電話を切り、お弁当を食べ続ける透に視線を移す。



『透、パソコンない?』



「どうするの。」



『調べようかなって……私の嫌な予感って、絶対当たるの。』



生徒会室の自分のものなら使えると、生徒会室に案内された。

生徒会室には役員と思われる数名がソファーで寛いでいた。



「透ー、その子が転校生?」



「ああ。紫苑、あれ。」



『お邪魔しまーす。ありがとー。』



立ち上げて待っている間に、透のお仲間たちを盗み見る。

向こうも私のことを興味津々にガン見している。



「櫻小路紫苑、さん?」



『ん?私の名前まで知ってるんだね。』



「きみ、有名人だから。転校初日に【神王】のツートップに追い掛けられて、捕まって死んだとか?」



「【神王】のお姫様に気に入られてるって聞いた。」



「女たらし笹木大門に口説かれたらしいじゃん。」



「おまけに、うちの会長様とも親しいのも聞いたけど……本当だったんだね。」



『へーそれってすごいの?……てかシンオウってなに?』



我が弟たちは相当な有名人らしい。まあ、あのルックスなら有り得るに決まっているが。

それにしても、お姫様って誰の事だ?

私がここに帰ってきて仲良くなったのは真白だけ。

それか、以前からの親友の透か。

しかし、彼らは透のことを“うちの会長様”と称している。

真白はお姫様と称される何かをしたのか、現在しているのか。演劇とか?



考えている間にもパソコンが立ち上がり、調べものを開始した。

透はソファーに座る彼らに並び、クスッと笑う。



「それにしても意外。知り合って間もないのに、アンタが動くなんてね。」



『うーん、まあ……ああいう風に笑う子が潰れるの、もったいないなあって思ったから。』

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