第27話
徹夜して私たちがしていたこと──
『よっしゃ!』
「くっ」
「帝があそこで甲羅さえ投げてこなければ!」
ガッツポーズをする私に帝は顔をしかめ、杏璃は悔しいと頭を抱える。
一晩中、私たちはゲームのカートレースで勝敗を争っていた。
そして二人はまだ一度も私に勝てていない。
『じゃあ、もうこれで終わ』
「勝ち逃げは許さない。」
「もう一回!!」
コイツら勝つまで止めないつもりだ。
すっかり朝になったと言うのに……学校行く気ないのか?
『登校二日目でサボりとかヤンキーじゃない?学校行きたいんだけど』
「ヤンキーでもなんでも良いから続き。」
「お前は解放したら次は捕まらない。」
逃げ回ったことが、二人から逃亡しないと言う私の言葉への信頼はなくなったと。
『二人が寝るまで付き合ってやる。』
「後悔するなよ。」
杏璃の言葉通り、私は後悔することとなる。
それは、彼等と私は三つ子。
体力が馬鹿のようにある……おまけに負けず嫌い。
彼らも私と同じショートスリーパーなのかもしれない。
三徹目にして、杏璃が倒れたことで私たちの戦いは終わりを向けた。
途中食事やらお風呂やらで中断したが、画面ばかり見ていたせいで目が疲れた。
目頭を押さえ、軽いマッサージをする。
「くそ」
『勝てたからいいじゃん。』
「総合優勝は全部お前に獲られた。」
一勝二勝しただけじゃあ、総合は無理だもん。
『三日で音を上げるとは、まだまだだね。隣の部屋なのにー帰るのが億劫だー。ベッド貸してー』
帝も疲れているから、何も言わなかった。
どっちの寝室かは分からないが、静かで物音のない部屋にホッと息を吐き出した。
変な落ち着きのなさは覚えるが、ベッドにダイブして目を閉じた。
まだまだ寝なくても体力はあるが、長時間のテレビ画面を見続けることは本当に目に悪い。痛い。
『よく、ねられそう』
なんだかんだで楽しかったな。
まさか、再会して早々テレビゲームで持久力とカート対戦するとは思わなかったけど。
二人と話せたことが、夢見心地だった。
だからかな……
その日は、嫌な夢は見なかった。
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