第13話

廊下で呼ぶまで待っててくれと言われ、待機している間に周りを見渡す。

消して綺麗ではなくて、所々に落書きもある。

しかし、それは新しいものではなく随分昔に書かれたように窺える。

強いて言えば、歴史がようにも取れる。

床は木のタイルで、歩くと軋んだ音を発する。



「櫻小路さん、どうぞ。」



閉じられた扉を開けると、私を見つめる目。

椅子ではなく机に座っている生徒もいるが、黙って私を凝視している。

髪の毛の色も色とりどりで、個性的だ。

これなら、私の髪の毛も浮かないだろう。



「今日から、皆のクラスメイトになる櫻小路さんだよ。」



『櫻小路紫苑です。よろしく。』



おじいちゃん先生の隣に立ち、教室内を見渡す。

男子9に、女子1の割合か。

良く見ると、窓側一番後ろの席とその一つ前に見知った顔がある。

一人は私を見ると、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

犬の尻尾が見えるのは、幻覚か。

もう一人は、私の顔を凝視してから目を見開いている。

まるで、お化けでも見ているかのように。



挨拶も簡単で、続かない愛想笑いは作らない。



「席は窓から二番目の列、一番後ろのあそこの空いてる所に座ってくれるかな。教科書が届く前までは、隣の席の子に見せてもらって。」



『分かった。』



「それでは、授業を始めるよー。」



注目されている中、席について隣の女子を見てからニヤリと満面の笑みを浮かべる。



「やっぱり、10年経ってもその腹立つ笑い方は変わらないのね。」



『私に会いたかった?透。』



「別に。」



隣の彼女──竜胆透は、10年前と変わらない。

いや、以前よりも研ぎ澄まされた空気と美しさが増している。

黒のベリーショートヘアーは、小顔の彼女に良く似合っている。

座っているから身長は分からないが、推定170㎝。

スタイルが良く、アーモンド型の意志の強い目と筋の通った鼻に薄く赤い唇。



「あの転校生、竜胆さんと知り合い?」



「まじかよ。」



授業は、想像よりも静かに行われている。

勿論、話し声も聞こえるが極少数がヒソヒソと話しているだけ。

携帯や寝ている生徒もいるし、相変わらず机に座っている生徒もいるが。



「しーちゃん……。」



『真白も、同じクラスになれたねー。』



周りに習い、私もヒソヒソと声を出す。

元より、授業中に通常音量で会話しようとは思わない。



「うん、嬉しい。」



にっこりと笑みを浮かべ、板書に戻った真白。

私と真白を見て、透が物言いたげに鋭い視線を向けてくる。

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