第9話

相手が疲れてきたのを見て、顔に回し蹴りをする。

男はそのまま後ろに吹っ飛んで、地面に倒れて気を失った。



暫くは動けないだろう。

男たちが起きる前に、彼女を家に送り届けることにした。



「また、助けてくれて……ありがとうございます!あの……私は、有田真白って言います。お名前を教えてください!」



『紫苑。真白、歳は?』



「紫苑さん…。え!私は16歳です!」



『なんだ、同い年じゃん。敬語とか要らないよ。』



「そうなんですか!?大人っぽいから……年上だと。」



『あー、老け顔ってことね。よく言われる。』



「い、良い意味でですよ!」



必死に手と首を振って、否定してくれている真白。

いいんだよ、散々言われて来たから。



『真白……あまりこんな夜遅くに出歩くと危ないぞ。今回は私が通りかかったけど、助けてくれない人だっている。』



「うん……気を付けます。心配してくれて、ありがとう!紫苑さんは、優しいね。本当……あの時、紫苑さんが来てくれなかったらって思うと……怖いな。」



目を潤ませる真白の頭を「大丈夫だよ」と出来るだけ優しく撫でる。

そうこうしている内に、真白の家に到着。



『早く入りな。おやすみ。』



「あ、えっと……連絡先を教えて、ほしいな!お、お礼したいし、それに……もっと……お話したくて……駄目……かな?」



なんなんだ、この滅茶苦茶可愛い子。

胸がきゅんってしたよ、今。



『……うん、いいよ。』



連絡先を交換すると、真白は嬉しそうにニコニコと笑う。

その笑顔のまま、手を振りながら家に入っていった。

最後まで、「ありがとう」と言われた。

私も手を振りながら、頬が緩んでいたと思う。

真白と別れてから、コンビニに寄っていちごのショートケーキを買って帰った。

結構遅くなってしまった。

実は、明日から学校なのだ。



会いたい人たちがいて、その学校へ行くことにした。

向こうは私のことは分かるのかな。

「誰だ」と忘れられていても、「いらない」と拒絶されても私の意思は変わらない。

タイムミリットまでは、彼等を見守りたい。




これが、最初で最後の願い──…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る