第166話



仁に手を掴まれた人物は










─────恭さん










「「「『は?』」」」



ここにいる全員が困惑した表情になる。



「龍!ビデオお願い!」



「お、おう!」



恭さんは、龍さんにビデオカメラを渡すと、仁に手を掴まれたまま走り出した。







《姫乃side end》





────────────

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《仁side》



灰原と緑川と一緒に集合場所に到着。



「仁!いっくん!頑張って1位目指そうな!……二人ともーっ!やる気出せって!」



灰原は欠伸をしているし、俺はさっきからお茶を飲んでいる。

見た目全くやる気0だ。



しかし、姫にしっかり走るのよと言われているから、真面目にやらないと怒られてしまう。

ただでさえさっきのことで心配させている。



『……ん』



「……ああ」



迫り来る緑川の顔に俺も灰原もタジタジで返事をする。



「位置についてっ!よーいっ!」



パァンッ




遂に競技が始まった。

緑川が3番目で俺は1年生ラストの4番目、灰原は2年生ラストの8番目だ。



「お!次俺だー!よし!仁行ってくるなー!」



少し暑苦しい緑川に手を振ってお見送り。



「位置についてっ!よーいっ!」



パァンッ



順調な滑り出しで一番にボックスにたどり着いた。

お題の紙を取り出して見た緑川はそのまま何処かへと走り去って行ってしまった。



「お前走って大丈夫なのか?」



俺の隣に来た灰原に話しかけられた。

これはもしかしてもしかしなくても心配してくれてるのか?

あの灰原が?

いきなりどうしたんだよ。

頭でも打ったのか?



『……ん』



「そうか」



それだけ話して、二人でただグラウンドを見ていた。

帰ってきた緑川が担いでいたものは゛消火器〝



1位でゴールした緑川は、俺たちの所へ走り寄ってきた。



「見てた?やったー!1位~!」



「……あれは借り物か?」



灰原も俺と同じことを思ったようだ。



「うん!だって事務の先生から借りてきたし、この学校のものか会場にあるものなら何でもいいらしいっ!」



なるほど。

だからあんなに変なお題が多かったのか。



「次、仁だね!頑張れよっ!」



頷いてから、レーンへ向かう。

レーンに立つと結構緊張する。





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