第162話
何もないと仁と灰原一心は言っているが、絶対に何かあった。
後で話を聞かせてね、と言っておいたが無理やり言わせる気もない。
勿論、仁が困っていたら全力で力を貸すけどね。
私を安心させるために、仁は私の頭をポンポンと撫でる。
先程までの焦りが嘘のように落ち着きを取り戻す。
また仁がいなくなるんじゃないかって怖かったけど、帰ってきてくれて良かった。
「プログラム5番、借り物・借り人競争。出場選手は集合場所へ集合してください。」
アナウンスが入ると、仁と亮、灰原一心が集合場所へと向かって歩いていった。
仁と灰原一心の間に特にギクシャクした様子はなく、寧ろ睨み合いがなくなっていた。
「なんか、あの二人仲良くなった?」
『ええ……』
ひかも感じたらしく、不思議そうに私に聞いてきた。
私も戸惑っているから、それ以上は言葉が出なかった。
まだ競技が始まっていないのに、周りがガヤガヤと騒がしくなった。
「も~洸雅のせいで遅れたじゃないか!」
「ギリギリセーフっすよ!今から出番じゃないですか。」
「危うく遅れるところだっただろっ!」
「いったっ!龍さん殴らないでくださいよ!いだだだだっ!と、虎さん!」
「虎まで怒ってんじゃねぇか」
「いってぇ!ごめんなさいっす!」
「こら、あんまり騒ぐなよ。」
後ろから騒がしい聞き覚えのある声変わり聞こえた。
やっぱり仁の応援に来ていた。
見なくても分かるが、挨拶しないとね。
私が振り向いて挨拶するよりも早く、赤西昴が振り替えって声のする方へ手を振る。
「あ!恭さんたちだ~」
「こんにちは。」
「こ、こんにちはっ!」
それに続いて、黄崎梓とひかが振り返って挨拶をする。
私も振り返ると、やはりあの人たちで。
…………え?ここって知り合いなの?
にこやかに笑った恭さんたち。
「ああ、こんにちは。暑いね…………え?…………青沼」
「……白石、恭弥?な、なんで?」
「おう、恭どうした?よ!お前ら………青沼ひなた?」
「……。」
「青沼ひなたがなんで?」
恭さんたちはひなたさんを見ると、目を見開いて驚いている。
ひなたさんも、恭さんを見て動揺している。
「恭弥!あんた、」
「お、お姉ちゃんっ!落ち着いて!」
今にも恭さんに殴りかかりそうな勢いのひなたさんの腰にしがみついて、必死に止めるひか。
その様子を見て、またも驚いた表情をする恭さんたち。
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