第161話
「ね?心配しなくても大丈夫だよ~」
携帯をポケットにしまって笑ってみせる赤西昴。
しかし、これを見ても私には他の心配が出てくる。
『灰原一心が仁に何もしないって保証は?』
あの二人は水と油。
顔を会わせれば睨み合い。
まあ、ほとんど仁が無視を決め込むんだけど。
「えーっ!一心信用なーい!んー……一心は姫ちゃんが悲しむようなことしないよ。」
『そんなこと……』
分からないじゃない、と言おうとしたのを赤西昴の言葉で遮られた。
「分かるよ。…………一心は姫ちゃんに本気だからね~」
その目がいつもの緩いチャラ男ではなく、真剣なものになったことで、何も言えなくなる。
すぐにいつもの雰囲気に戻ったけど。
歓声が大きくなり、終わったのだとグラウンドを見る。
結果は、黄崎梓も1位だったようだ。
ひかに自分を見ていろ、と言うだけはある。
灰原一心を信じて、座って待つことにした。
3年生の長距離走には会長も出ていた。
凄い人気で、応援の声が凄い。
結果は堂々1位。
「会長さすがね」
「ね!余裕そうだよね~」
呑気なひかの返事が帰ってくる。
「たっだいまーっ!……って仁といっくんは?」
「ひかの声、聞こえましたよ。」
「お帰りなさいっ!亮くんも梓君もおめでとうっ!格好良かったよー」
『お疲れ様』
競技が終わって、黄崎梓と亮が帰ってきた。
お疲れ様というと二人はにかっと笑って、とても爽やかだった。
「あの二人は、お話中ー!」
「あの二人がですか?」
「そーよー」
黄崎梓と亮が不思議がっている。
「まだ帰ってないね。」
『ええ、遅いわよね。』
さすがに時間かかり過ぎじゃない?
なんの話してるのよ。
殴り合いとかになってたら、どうしよう。
「いつからいないんですか?」
「二人が移動し出したくらい?」
「それってだいぶ前じゃんっ!まじか~!てことは、俺らの頑張り見てないってことだよね?もーっ!」
亮が可愛らしく怒り出して、頬をリスのように膨らませている。
この子、そこらの女より可愛いんじゃないかしら。
結局、仁と灰原一心が帰ってきたのは次の競技のパン食い競争が終わった時だった。
戻ってきた仁の顔は、ひなたさんが言った通り真っ青で何かあったことが一目で分かる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます