第156話



二人が歩いてったのを見届けて、俺も席を立つ。



「仁?どこ行くの?」



『……トイレ』



「そう。いってらっしゃい。」



そのまま校舎の方へと向かう。

校舎に入ると、トイレに背を向けて歩く。

階段を上り、少し距離のある北階段と呼ばれる所まで行く。



キィー



さらに1階分階段を登る



『……。』



「あ……白石くん!き、来てくれないかと思ってた……」



『……何?』



そこにいたのは、茶髪の長い髪をしたお団子にしている女子生徒。

姫に似た綺麗な手をもじもじと握り、頬を朱に染めて上目遣いで俺を見つめる。



実は朝、机の中に手紙が入っていた。



「わ、私のこと……覚えてる?」



『…………リーダー』



「リ、リーダー?」



彼女は、ひかを呼び出してた人たちのリーダーだ。



『……何』



誰とかもういいから、早く用件を言ってくれ。



「あの、白石くん…………私、貴方のことが…………好きなのっ!私とその……付き合ってちょうだいっ!」



この子は何故こんなに女王様みたいな言い方なんだ?

ツンデレってやつか。



しかし、俺の答えは決まっている。

いつもと同じ返事をするだけ。



『……ごめんなさい』



「な、なんで?噂の幼なじみが好きなの?」



なんでって……俺女だし無理だよ。

噂って何?

姫のことは好きだけど、それは友情としてだ。

この人が言う゛好き〝は恋愛対象としてのことを言っていることくらい、俺でも分かる。



『姫は親友。』



「じゃあ、恋愛対象じゃないってこと?ならっ……」



『……ごめんなさい』



再度謝り、頭を下げる。



「わ、私!諦めないから!私は2年B組の河内璃子(かわうち りこ)よ!」



彼女───璃子は背伸びをすると俺の胸ぐらを掴む。

そのまま、自分の顔を近づけてくる。

璃子の目は閉じられていた。

何をするのか分からなかったのと突然すぎて、反応できなかった。




チュッ




俺の唇に触れたそれは、軽いリップ音をさせてすぐに離れた。



「お、覚えておきなさいよっ!」



『おいっ!』



顔を真っ赤にして、俺を指差した璃子はそのまま背を向けて階段を駆け上がって行ってしまった。

流石に呼び止めるが、振り返ることなく走り去ってしまった。





──────キスされた?






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