第155話



俺が天敵ゴキさんに驚いたのだと思ったらしい。

俺は兄貴に裸を見られてもなんとも思わないが、兄貴に申し訳なさそうに謝られた。

こんなに俺のことを女の子扱いしてくれるのは、兄貴か叔父さんくらいだ。



「ねっ!仁くん!」



『……。』



ひなちゃんと姫からの容赦ない言葉に、耐えられなくなったひかが俺に助けを求めてきたが、視線を反らして逃げる。



「ほら。」



「えーーーっ!が、頑張ろうね!」



『……ん』



怪我しないように頑張るよ。



「何々?亮ちゃんっ!もしかして~……好きな子でも出来たの~?」



「な、ななっ!んな訳ないだろっ!て、適当言うなっ!」



未だに言い合いを続ける緑川と赤西。

緑川は、明らかに目をキョロキョロさせながら動揺を隠せていない。

分かりやす過ぎる。

赤西もそんな緑川を見て、ニヤニヤしている。



そうか、好きな奴が出来たのか。

あまり興味の出てくる内容じゃないが赤西は誰だ誰だと問いただしている。



「はあ、いい加減辞めてあげなさい。亮も昴の言葉に過剰に反応しすぎですよ。」



まとめ役である黄崎が二人の間に入る。

止めるならもっと早く止めろよ。



「な、なんで昴のこともっと早く止めてくれないんだよ!あずーっ!」



「全部に返そうとしなければ良いだけじゃないですか。長い付き合いなんですから、そのくらい学習してください。」



「うーーーっ!」



俺と同じことを思った緑川が避難の声をあげたが、黄崎はそんな緑川を一蹴。

こいつは誰にたいしてもチクチクと毒を吐くことが分かった。



こんな下らないことを話している間に男子の短距離走も終わり、アナウンスが入る。



「プログラム3番、長距離走です。女子800m走、男子1000m走に出場する生徒は集合場所に集合してください。」



ブスッとした顔が一瞬で輝いた顔になった緑川と黄崎が席を立つ。



「行ってくるっ!」



「いってきます。」



「頑張ってね~」



「二人とも頑張ってねっ!」



二人に手を振る赤西とひか。



「はい。ひか、見ててくださいね。」



「うん!」



「えーっ!俺は?俺も応援したじゃ~ん!」



赤西をスルーしてひかの声援だけに答える黄崎。

ひかには気づいてもらえてないけど、こいつも分かりやすいな。

きっと俺にたいして風当たりが強いのは、ひかが俺のことを好きだったのを分かっていたというのが大きいのだろう。

姫が言うには、ひかは分かりやす過ぎるらしい。

姫で分かるのなら、もっと付き合いの長いこいつらは知っていても可笑しくない。






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