第153話



姫は足が早いし、瞬発力もある。

結果は、堂々1位。



姫が此方を見て、無邪気に笑いながら手を振る。

それに手を上げて答える。



すごくすっごーーーく隣から鋭い視線を感じる。

これは睨んでるな。

とても面倒くさいから無視を決め込む。




その視線は姫とひかが此方に戻ってくるまで続いた。



「二人とも、お疲れ様っ!」



「お疲れさ~んっ!」



真っ先に二人に労いの言葉をかける緑川と赤西。

しかし、姫もひかもこの二人の言葉に短くお礼を言うと俺に近寄ってきた。



「仁くんっ!私二位だったよっ!見ててくれた?」



『ん』



子供が母親に言うように、嬉しそう笑顔で言うひかによくやったね、と頭を撫でると照れたようにまた笑っている。



「仁、私も頑張ったのよ?労ってよー」



珍しくデレモードの姫が俺を見つめて、頬を膨らましている。

可愛すぎるだろ。



『ん……お疲れ』



次は姫の頭を撫でると姫も照れたように満足そうに笑った。

俺ももうデレデレ状態だ。



灰原だけではなく、黄崎からも鋭い視線が飛んでくる。

黄崎の隣に座る緑川も、苦笑い状態である。



美少女二人は、この状況に全くと言って良いほど気がついていない。



赤西ももたれ掛かるのを辞めて、この状況を楽しむように俺たちを見る。



さすがの美少女二人も、皆が俺を見ているのに気がついて、どうしたのか思い始めた時、ドンッと二人に抱きついた人物が一人。



「ひかーっ!姫っ!二人ともお疲れーっ!ギリッギリ間に合ったわ。」



ひかのお姉さんのひなちゃんだ。

あれから仲良くなって、ひなちゃんと呼ぶまでになった。



「ひか、二位だったじゃない!足遅いのに頑張ったわね!」



よくやった、とひかの頭をわしゃわしゃと撫でる。

それに照れながらも、髪の毛がぐちゃぐちゃになったことに頬を膨らませて怒るひか。



「姫は足早いのね!楽勝だったんじゃない?」



「昔から運動は好きだったので。」



姫の頭もわしゃわしゃと撫でる。

姫はそれがこそばゆいのか照れ笑いしている。



何ともほのぼのした3人を眺める俺たち5人。

完全に空気とかしていた俺に目を向けたひなちゃんは、此方に近づいてくると、ぎゅっと抱きついてきた。



「仁っ!おはよう。」



『……はよ』



暫し面食らったが、挨拶を返すと俺から離れた。





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