第152話



「え~っ!そんなの分かんないだろ~!だって仁ちゃん何も言わねぇよ?」



「少しだけだけど、表情に出てるだろっ!」



「いつも無表情じゃ~んっ!」



赤西の言う通りだ。

俺の表情を読み取れる人は、限られている。

なんで分かるんだ?

まあ、有り難いことではある。



「よく見れば分かるよ!」



緑川の発言に、4人が俺の顔を見る。

しかし、すぐに首を傾げる。



「亮は、よく一緒にいるからじゃないですか?俺にはムカつくほど無表情に見えます。」



「俺はもっと仁といたいけどな!」



黄崎の吐いた毒をカバーするように緑川が笑顔を向けてきた。

こいつはチクチクチクチク嫌味のように言葉を刺してくる。

こんな奴を一々相手にしていたら、疲れるからスルーしておく。



「俺も~仁ちゃんとは仲良くなりたいな~!」



懲りずに俺にもたれ掛かってきた赤西。



「これより、女子の100m走を始めます。」



アナウンスが入ると、前の席に座る二人はグラウンドに視線を向ける。



走行レーンと名前が呼ばれる。

名前が呼ばれると、四方八方から応援の声が出てくる。

走行順番は、1年、2年、3年の順で走るらしい。

確か姫は最後の方だったはずだ。ひかは最初の方。



二人が出るまでは暇だから、飲み物を飲みながら待つ。



「3レーン、青沼ひかりさん。」



ひかが呼ばれると、女子のブーイングと男子からの声援に分かれた。

黄崎と緑川もひかの応援をしている。

俺も心の中で頑張れと声援を送る。



「位置についてーっ!よーいっ!」



パァンッ、とピストルの音と共に一斉に走り始める選手たち。

大体同じ足の早さの人が集められているのか、ほぼ互角。

徐々に差が広がっていく。



結果、ひかは2位。

最後に一人を抜かして、大健闘だ。




「ひかーーっ!お疲れーーっ!」



緑川がひかにグラウンドに響くほどの音量で、労いの言葉をかける。

戻ってきたら言えば良いのに。



ひかはまだ息がきれているが、にこにこと笑顔で手を振る。

腰に手を当てて呼吸を整えている。



また何組かが走り終わって、遂に姫の番が来た。



「6レーン、青井姫乃さん。」



これまた、女子の野次と男子の歓声が聞こえる。

灰原の舌打ちが聞こえたが、そんなものが気にならないほど、俺は姫のことをガン見。



「位置についてーっ!よーいっ!」











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