第151話



俺の席と姫の席は隣で、俺たちの前にはひかと緑川が座った。

席に座るとすぐに、前の二人が此方を振り返って、俺たちの様子を窺うように見ながら、眉を八の字に寄せている。



「あの、姫……仁くん。いっくんたちも一緒で良い?」



「お願いっ!」



俺があからさまに嫌な顔をすると、二人は俺たちを拝み倒してきた。

お願いを連呼しながら、手を合わせている二人の必死さに押された姫。



「う、うん。いいけど……仁は?」



「お願いっ!仁っ!」



『…………姫がいいなら。』



どうせ姫といたいのだろう。

姫が嫌じゃないなら、ひかと緑川は一緒に見たいだろうし俺が嫌でも関係ない。

それに、もうすでに女子の黄色い声が聞こえてきている。



「いっくん!梓君!昴!こっちこっちーっ!」



ひかが声をあげると、灰原が視線だけを寄越し、黄崎が此方に手を振って、赤西は周りの女子に手を振っている。



「おはようございます、姫乃さん。ああ、白石くんもいたんですね。」



爽やかな笑顔で姫に挨拶をする黄崎は、俺にたいしては黒い笑顔を見せる。

笑顔なのに目が笑っていない。

こういう作り笑顔苦手なんだよね。



「仁ちゃん、姫ちゃんおはよ~!」



へらへらと満面の笑みで手を振りながら、緩く挨拶をする赤西。



「姫乃、おはよう。」



「え、ええ。おはようございます。先輩方。」



姫に近づくと腰に腕を回し、姫を愛しそうに見つめながら挨拶をする灰原。

近くないか?姫も若干引き気味だ。

そのまま、俺とは反対の姫の隣に腰を下ろした。

黄崎は、緑川とは反対のひかの隣に座る。

そして、何故か俺の隣に座る赤西。



「プログラム2番、短距離走。女子の100m走と男子200m走に出場する生徒は、集合場所に集合してください。」



「いってきます!」



「頑張ってくださいね。」



「それじゃあ仁。行ってくるわね。」



『頑張れ』



「頑張れよっ!」



「ファイト~」



「頑張れ」



アナウンスが入ると、姫とひかが立ち上がった。

姫とひかの頭を撫で、エールを送る。

緑川たちも、二人に応援の言葉を言う。

二人とも100m走に出るために集合場所へ。



男だけになると、赤西が俺に寄りかかってくる。

結構重たい。

そのまま、黄崎と話始めた。



「ねえねえ~。あいつは?来てるでしょ?」



「開会式はサボると連絡が来ました。そのうちふらっと現れますよ。」



あいつが誰なのか分からないから、気にしないでおこう。

関わるのも嫌だ。



「そっか~。……じーんちゃーん!お話しよ?」



「あーっ!昴っ!仁が嫌がってるだろ?」



すかさず緑川が赤西を退けてくれた。

おかげで一気に軽くなった。






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