第144話
『ひなたさん、落ち着いてひかの話を最後まで聞いてください。』
そう言うと渋々仁に掴みかかろうとするのをやめて座り直してくれた。
「えっと……その理由がね。じ、仁くんは女の子だったのっ!」
「…………は?」
「だ、だからっ!仁くんは女の子なの!」
「…………嘘でしょ?こんなにイケメンなのに?」
未だに信じられないのか、目をひん剥いて仁を凝視。
肝心の仁はウトウトと船を漕いでいる。
ひなたさんは、おもむろに仁に近づく仁の身体をペタペタと触り出した。
「……胸はない。……はっ!下もない!」
斬新な確かめ方に苦笑いしてしまった。
ひかは顔を真っ赤にして目を手で覆い隠しているが、指の隙間から見えるよ、それ。
仁も流石に驚いたのか、飛び起きると私の後ろに素早く身を隠し、ひなたさんを威嚇している。
『仁、生徒証。』
「…………ん」
仁は鞄から生徒証を出すと、私に渡してくれた。それを青沼姉妹に渡す。
「「女って書いてある!!」」
しっかり女として入学しているので、勿論生徒証の性別のところには゛女〝と書かれている。
「私の勘違い?」
『はい。一緒にいたひかですら気がつかなかったし、見た目もこうですから間違えるのは仕方ありません。昔から間違われていたので。……スカート履いてても。』
「それは、お気の毒にとしか言えないわね。……その……ごめんなさい。仁?」
未だ私の後ろからひなたさんを威嚇している仁。
ひなたさんも反省して、仁に謝っている。
しかし、一向に近づこうとも口を開こうともしない仁は警戒心剥き出しである。
ひなたさんは、キャリーバックから何かを取り出すと仁の前に出した。
それは仁の好きなご当地限定味のスナック菓子。
それでも動こうとせず、しかしスナック菓子も気になっている仁とオロオロするひなたさん。
この二人、なんか面白い。
ひかと二人で顔を見合わせて笑った。
「『はははっ!』」
私たちのことなど気にせずお互いを見る二人。
仁はひなたさんを観察している。
『仁、この人はひかのお姉さんでひなたさんよ。』
「自己紹介してなかったわね……青沼ひなたよ。」
「…………仁」
仁はひかのお姉さんということと、お菓子に釣られて私の後ろから出てきた。
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