第141話
暫しそんな現実逃避をしていた。
「お~い、仁くん?」
目の前でひかの手がヒラヒラと揺れる。
「ひか、それ聞いたらまた自分の傷えぐってない?」
ずばっと言う姫。
むしろ姫がひかの傷をえぐっている気がする。
俺が気まずくなるからやめてくれ。
「うっ!だ、だって~!気になるし、フラれたばっかでまだす、好きだよ?でも、女の子と恋バナするの初めてだし、楽しいから~!」
「まあ、私も仁の恋バナ聞いたことないわ。頑なに話そうとしないのよ。」
だって、こういう話ってくすぐったいし恥ずかしい。
姫には好きな人がいるのは言ったことあるが、誰かまでは言ってなかった。
理由は簡単。
長いこと一緒にいるから、言ったと思っていたと言うことと、そもそも恋バナなんてしないじゃないか。
「姫にも言ってないの?なんで?」
『別に……恥ずかしい。』
すでに顔が熱い。
そんな俺の顔を見て、二人は顔を見合わせると頷き合う。
なんだ?と思った時には二人に挟まれてしまった。
「初恋の人って?」
二人の迫力に、若干引きぎみの俺。
もう寝ようかな。
そんな俺の考えなんてお見通しの姫は
「答えるまで寝かせないから。」
と腕を捕まれた。
早く白状しろと迫り来る美少女が怖くて怖くて負けてしまった。
『……幼なじみの……お兄さん』
「えっ!名前言ってちょうだい。」
『………………嫌』
姫は分かっちゃうじゃん。
このくらいで勘弁してくれ。
もうすでに頭がクラクラしてきた。
「仁くんも年上の人なんだ。……い、今は?」
今もまだ好きなんだよ。
せめてもの抵抗で毛布で顔を隠す。
「仁っ!」
『…………。』
「くすぐりの刑でもする?」
この女王様めっ!
人の恋心に入ってこないでくれ。
しかしそんなこと言えるはずもなく……
『…………。』
「ひかっ!やるわよ。」
「えっ!」
そういうや否や、脇を擽られる。
いやいやと首を振り、抵抗を試みる。
『っ……くっ……んっ……!』
二人の手から逃れるために身を捩る。
我慢するが、声が漏れる。
「…………なんか……エロいわね」
「…………うん。」
二人が手を止めた瞬間、さっと二人から距離を取る。
「「…………。」」
ひかは顔を赤くして、姫は苦笑いで俺を見つめる。
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