第140話



「恋バナって……自分で傷えぐる気?」



「うううっ!姫がぁ~!!」



泣きながら抱きついてきたひかの頭を撫でる。

しかし、この子は結構力が強いらしく、ぎゅるぎゅるミシミシと俺の腹を締める。



…………く、苦しい。



『ひ……か……』



「ひっ、ひかっ!仁が死にそうになってるから!離してあげて!」



「あっ…………ご、ごめん。」



死ぬかと思った。

いや、このくらいじゃ死なないのは分かってるけど、最悪食べたものが逆流してこんにちはしてしまうところだった。

姫が助けてくれなかったら……そう思うと寒気がした。



『……ん』



布団へダウン。



「じ、仁くんっ!」



「大丈夫よ。放っておけばそのうち回復するわ。」



戸惑いながらも、姫が言うならと納得した゛猪ガール〝ひか。

二人して酷いよ。



「あ!姫の恋バナ聞きたい!」



「え?私の?……ないわ。」



「えっ?な、ないって?初恋も?」



「んー、初恋はあるわよ。」



「だ、誰!?」



鼻息の荒いひかに押され気味の姫。

少し考える仕草をしてから、ゆっくりと口を開いた。



「………仁のお兄さんかしら。憧れね。すぐに諦めたけど。」



「なんで?」



「私には無理だって幼いながらに分かったのよ。ほら、近所のよく遊んでくれたお兄さんが好きって感覚よ。……仁のお兄さんは、仁が一番だからね。」



「あ~!なるほど。……シスコンって言ってたね。」



「ええ、超重度のシスコン。」



「ね?仁。」と俺に視線を移した姫。



そこで俺にふるか?

分かんないし、俺も兄貴大好きだから嬉しい。

姫の初恋の話は、俺や兄貴に笑って話すほどで、彼女からしたら懐かしい思い出なのだろう。



首を傾げてみると、呆れたように視線をひかに移す。



「ああ、仁も超重度のブラコンだったわね。」



「仁くん、ブラコンなの!?……想像出来ない。」



ひかが目を見開いて吃驚しているが、想像しなくていいから!

ブラコンと言われてもその通りだと自覚しているから、気にしない。



「そういえば、姫の兄弟は?」



「んー……妹と……兄がいるわ。」



それ以上言いたくないと口を閉じた姫を見て、ひかも感じ取ったのかそれ以上は聞かなかった。



「じ、仁くんは?……初恋とか……」



遠慮がちに上目遣いで聞いてきた。

本人は無意識なんだろうが、これで何人の男をおとしたんだ?

ひかは゛猪小悪魔ガール〝のようだ。

なんだそれって感じだけど。





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