第138話



「お先に失礼しました。お次どうぞっ!」



お風呂上がりのひかは、半袖のTシャツと長ズボン姿。

普段二つ結びをしている髪が下ろされていて、雰囲気がガラリと違う。

可愛らしい印象から少し大人っぽくなった。



「仁。」



『ん』



脱衣場で服を脱ぎ、お風呂に入る。数分して、トントンとドアがノックされた。



「じ、仁くん。洋服置いておくね。あと、さっき買ってきた下着も。」



『ん……ありがと。』



「う、ううん!ご、ごゆっくり!」



下着は泊まると決まった時に、ひかの家の近くにあるショッピングセーターで購入してきたものだ。

俺とひかでは身長差があるのに、洋服入るかな?



10分位でお風呂を出て、着替えると服のサイズは丁度良かった。

髪を乾かしてリビングに戻る。



『……姫』



「はいはい。」



読んでいた雑誌を片付け、パタパタとお風呂場に向かった姫。



ひかと二人になってしまった。

少し気まずい。

10分程の静寂の中、口を開いたのは俺。



『……これ』



そう言いながら、今着ている洋服を指差す。

もしかしたら、自分からひかに話しかけたのは初めてかもしれない。



「え、あ……ああ!それね、お姉ちゃんのなんだ。私のは、仁くんの身長じゃ小さいと思って。」



『ん……ありがと。』



「いいえー!」



少し嬉しそうに笑うと、俺の様子を窺うように見つめられる。



「あの……呼び方。仁……ちゃん?」



『今までと同じでいい。』



「で、でも……女の子なんだし……」



『゛くん〝はあだ名みたいなものだから。』



中学の女子も、俺が女と知っててもくん付けで呼ばれていた。



「そうか。あだ名……じゃあこれからも゛仁くん〝って呼ぶね!」



少し頬を染めて照れた表情をしている。



『ん』



「仁くんのさっきの電話って、ご両親から?」



『…………兄貴』



「え!仁くん、お兄さんいるの?……似てる?」



似てるのかな?

兄貴は父親似で俺は母親似。

二人とも美男美女だった。



『…………あんまり』



「そうなんだ~!」



話の区切りが丁度良い時、姫が脱衣場から出てきた。





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