第137話



「ふふふっ……なんか修学旅行みたいね。中学の修学旅行を思い出すわね。」



「こんな感じなんだ……私行ったことないんだよね。」



少し俯きぎみに言うひか。

不思議に思って首を傾げていると、姫も不思議に思って代わりに聞いてくれた。



「理由を聞いてもいい?」



「うん……丁度風邪引いちゃって」



苦笑いなことに、少し喉に引っ掛かるものがあるが、聞いてほしくないのかそれ以上は言わなかった。

これは地雷のようで、俺も姫もそれ以上踏み込もうとは思わなかった。



ゲッコォ ゲッコォ ゲロゲ~ロ



なんとも相変わらず空気の読めない携帯さんですね。

表示を見ると兄貴からで、連絡してなかったことを思い出した。



『……ごめ』



そう言うと玄関のところまで行き、電話に出る。



「もしもし、仁?大丈夫?」



出てすぐに大丈夫?って、相当心配させてしまったようだ。



『ん……ごめん。』



少しほっとしたのか息を吐くのが聞こえる。



「今姫ちゃんといるの?」



『ん。兄貴……泊まる』



「姫ちゃんのとこ?」



『……姫と高校の女友達のとこ』



「……うん。分かった。楽しんで!」



兄貴が声を弾ませているのを聞いて、少し照れてしまう。

姫以外に友達何て要らない、出来ないと思っていた入学式の日。

龍ちゃんに言われて言わなかったが、自分の心の言葉を思い出す。




───────親友の姫がいてくれればいい。




姫が大切なことに変わりはない。

大切だと思う人の中に、ひかが入っただけ。



それでも、一緒に喜んでくれた兄貴。



『ん……手伝えなくてごめん。』



「いいんだよ。夜更かしし過ぎないようにね。友達待たせちゃ悪いね。……おやすみ、仁。」



『ん。……おやすみ。』



電話を切って、リビングに戻ると、ひかがいなくなっていた。

シャワーの音が聞こえるから、お風呂に入ったのだろう。



仁、と呼ばれたので、姫に視線を向けると雑誌から顔をあげた姫と目が合う。



「恭さん?」



『ん……連絡忘れてた。』



「心配してたんじゃない?私も言えば良かったわね。」



「ん。大丈夫。」



兄貴は心配症というか過保護というか。

連絡すればいいんだけど、忘れることもあって、この度に電話が来るから姫もよく知っている。



15分くらいすると、ひかがお風呂から出てきた。

脱衣場の方からドライヤーのゴーッという音が聞こえる。





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