第129話
『ひ、姫!』
「往生際が悪いわよ?……本心を言えばいいのよ。」
『でも……』
怖いよ。
また仁くんのこと傷つけちゃう。
それに、気まずいよ。
俯いた私の心を読んだ姫は、私の肩に手を置くと
「大丈夫よ、ひか。仁のこと一番分かる私が言ってるんだから、信じて。」
首を傾げて、にっこりと微笑んでいる。
その笑顔を見て、自然と入っていた肩の力が抜ける。
『うん。頑張る。……このまま仁くんのこと避け続けるなんて嫌だもん。』
「ええ」
ピーン ポーン ピーン ポーン
は!き、来たぁ!
緊張する。心臓が暴れまわってる。
手と足が同時に出てうまく歩けない。
それを見た姫にまた笑われてしまって、恥ずかしくて顔が熱くなった。
ガチャン
「…………。」
『…………。』
ドアを開けると、当たり前だけど仁くんが居た。
3日ぶりの仁くんは格好いい。
今日は片側だけ編み込みがされていて、格好可愛くなっている。
「さあ、早く入って。」
あの、姫さん。
ここは私の家ですよ。
『ど、どうぞ。』
仁くんの目が見れない。
私の後に続いて「……お邪魔します」と遠慮ぎみに上がってきた。
姫はさっきと同じ場所に、その隣に仁くんが座り、お茶を出すと一人がけのソファーに私が座った。
暫く無言が続き、どんどん重い空気になる。
その原因は私なんだけど。
仁くんは至って普通で、お茶を飲んでいる。
そんな私たちを見かねた姫が
「ひか、言いたいことあるんでしょ?」
と言うから、仁くんが私を見る。
今日初めて目が合う。
ドキドキと心臓が暴れ始めて、顔が熱くなる。
「ひか」
大好きな彼……彼女の声が私を読んでいる。
「話して」
言わないと。
決心して顔を上げて彼女を見る。
『仁くん……ごめんなさい。私、仁くんのこと傷つけること言った。……私ね、どうすればこの気持ちを忘れられるのか分からなくて、まだね……フラれてもまだ仁くんのこと好きなの。……女の子だって知っても、仁くんのこと好きになったこと……後悔してないよ。』
今、私は笑えているかな。
頬に流れるこれは、涙だ。
『仁くん……ありがとう。私、仁くんと友達でいた。』
ありがとう、姫。
私、自分の心をこんなにはっきり人に言えないから。
背中を押してくれて。
ありがとう、仁くん。
私に恋を教えてくれて。
初恋は実らない、って本当なんだね。
《ひかりside end》
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