第128話



「ひか」



隣を見ると、姫が私の目を真っ直ぐと射抜く。



「私さ。回りくどいのとか苦手だから、はっきり聞くけど……仁に告白したの?」



『……仁くんから聞いたの?』



「ううん。仁は何も言わないけど、ひかのこと心配してるみたい。……聞いてもあの子は答えないわ。いつもそうなの。」



いつも?

どういうことだろう。



『私……仁くんに告白……した。でも、フラれちゃった。……姫ならその理由分かるでしょ?』



「ええ……分かるわ。」



『なんで、私が仁くんのこと好きなの知ってたのに……教えてくれなかったの?仁くんが……女の子だって。』



教えてよ。

教えてくれてたら、告白はしていなかった。



「私があの場で、言っても信じた?冗談じゃないかって思うよ。……それに、ひかの仁のこと好きって気持ちは、私の一言でなかったことに出来るの?」



『……出来ない。……ごめん、姫。八つ当たりみたいになっちゃって。』



それからまた涙が止まらなくて、止まるまで姫が背中を叩いてくれていて、その優しさにまた涙が溢れてきた。



少し落ち着いた時、あの日のことを姫に話した。

約束を守れなかったことを謝ったら、「私の勝手なお願いなんて、気にしないでいいわ。」と言ってくれた。



私の話を聞き終わった姫は、少し考え込んだ後



「ひか……仁を呼びましょ。」



私は全力で首を横に振った。

だって、どんな顔して会えばいいのか分からないもん。



「いいから!」



そう言うと姫は携帯を取り出すと電話し始めた。

しかし、何度電話しても相手は出ないらしく、彼女がイライラし始めてすごく怖い。

やっと出た相手に「ちょっと、無視してるんじゃないわよ!寝てたの?……学校よね。今から○○区の△△の□□マンション503に来なさい」と命令形で言うと相手の返事も聞かずに電話を切ってしまった。

そのあまりの早さに私が口を挟める時間なんてなかった。

暫しフリーズして、慌てて姫に再度首を激しく横に振った。



電話の相手って、絶対に仁くんだよね。

え?来るの?ここに?



どぎまぎしながらアワアワとキッチンとリビングを意味もなく行き来していると、姫に「壊れたロボットみたいね」と笑われてしまった。

なんとも失礼な!

そうは思っても言えるわけもない。

女王様姫乃さんに倍返しされて終わるのがオチだ。



大人しく座って待っていると、一時間程してインターホンが鳴った。



またアワアワとすると、ソファーから立ち上がった姫がドアを開けてしまった。





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