第122話
姫は凄いな。格好いいよ。
私には彼女のように自分の思ったことを口に出して言うことができない。
殻に閉じ籠って聞こえないふり。
気にしないふり。
でもそれはただ゛ふり〝をしているだけ。
傷ついている自分を見ないようにしていただけ。
…………私傷ついていたんだな。
昔から他と群を抜いて格好いい彼らといて、女の子の友達は姫が初めてと言っていい。
たまに彼らに近づきたくて、私と仲良くなろうとした子もいたけど、すぐに離れていく。
陰口を叩かれても平気だった。
慣れてるって逃げてた。
「大丈夫」って言い聞かせて、幼なじみの彼らに心配かけないように笑ってた。
…………私って弱いな。
そのままじゃダメだって分かってた。
それでも変わろうとしなかったのは、私の甘え。
高校に入り、今までと変わらないだろうって思ってた。
私自身のことを見ようとはしてくれる人なんていないだろう。
そんなことを思っていたけど、高校で出来た友人二人は眩しすぎて、格好すぎて憧れる。
自分のことだけで精一杯だった私とは正反対の二人。
誰かのために立ち向かう強い二人。
羨ましい。
私が他の人をちゃんと見ていないのに、私自身を見てほしいなんて無理だって。
都合の良い我が儘だったって、二人が気付かせてくれた。
なれるかな?
二人みたいに、人と向き合える強い人間に。
なりたいな。
二人みたいに、大切な人のために想える人間に。
…………変わりたい。
『謝らなくていいです。でも次、姫と仁くん……私の大切な友人のこと悪く言ったら許しません!』
隣の姫を見ると私を見て微笑んでくれていて、よく言えたねって誉めてくれたみたいで嬉しかった。
『姫、ありがとう!』
涙が頬を伝うのが分かる。
でも、これは悲しいからとか悔しいからとかじゃない。
嬉し泣きとか初めてかもしれない。
姫は私が悲しんでいるんじゃないって分かってくれていて、頭を優しく撫でてくれる。
「……わ、分かったわ。……行きましょ!」
そう言うと、彼女たちは背を向けて走り去っていった。
ちょっと彼女たちのこと忘れてた。
彼女たちが言った姫や仁くんに向けられた言葉は許せないけど、彼女たちがいなかったら変わりたいって、自分の本心を見ないまま逃げ続けていたかもしれない。
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