第118話



《ひかりside》



今日は朝一度家にお風呂と着替えに帰り、すぐに学校に来たので眠い。



しかし、そんなこと今はどうでもいい。



今私の頭の中を占めているのは、仁くんのキスマーク。

首筋のところと鎖骨のところにも絆創膏があったから、そこもなのだろう。



キスマークがあるってことは、そういう行為をする誰かがいるってことだ。



ドロリ ドロリ



自分の心の中にこんな真っ黒なドロドロとした醜い感情があるなんて、初めて知った。



『ふぅ……うぅっ……』



「ひか、とにかく移動しましょ?ここじゃあ、人目が多いわ。」



泣いていて気が付かなかったが、皆が私たちを見てはヒソヒソと話している。



姫に連れられ近くの空き教室に入り、椅子に座った。

10分位したら落ち着くことができた。

私が泣いている間、姫はずっと背中をポンポンとしてくれていた。



『姫……ありがとっ……』



「いいえ。お礼なんていいわ。……それにしても、仁は気付いてないのにどうやってつけたのかしら?」



『うぅっ……ふぅっ……姫は……誰かっ思い浮かばないの?』



少し考えるそぶりを見せたが、分からないと首を横に振る。



「ひかは……仁のこと、好きなの?」



『ふぇっ!えっと……!誰にも言わないでね?』



「ええ。約束するわ」



『仁くんのこと……好きだよ…………私って分かりやすい?』



「ええ、とても。」



ピシャリと即答されて、ガックリと項垂れる。



姫が分かるなら、幼なじみ皆にバレてる!

仁くんは?もしかして、本人にもバレてたりして?



私の表情から考えが伝わったのか、エスパー姫ははっきりと言う。



「仁はそういうのに疎いから、バレてないわよ。安心して。でも、亮はさっき気を回していたわね。」



やっぱり?

うわぁっ!恥ずかしすぎる~!



一気に体温が上がる。

パタパタと手で顔の火照りを冷ます。



「ねえ、ひか?お願いがあるの」



『ん?何?』



一呼吸おいて、私の目を真っ直ぐと見つめる。



「仁のこと知って、絶交したくなるかもしれない。仁のこと大っ嫌いになるかもしれない。それでも……どうか、仁のこと否定しないで。こんなこと、言うべきじゃないのかもしれない。狡いお願いだと思う。……お願いします。」



姫は椅子から立ち上がると、深く頭を下げる。

それに吃驚して、フリーズしてしまった。





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