第117話



『……味、する。』



「……仁、気にしなくていい。」



兄貴がいいって言うならいいのだろう。

兄の言うことは正しいと信じている兄貴信者の俺は、疑問に思ってもすぐに気にしなくなった。



『……いってきます。』



「いってらっしゃ~い。」



ばいばい、と手を振って家を出て姫と共に学校に向かった。





───────

────




「仁くんっ!姫っ!おはよ~。」



「仁と姫だ~ふぁぁぁ……おはよ~!」



「おはよう。」



美少女二人と可愛い系美少年の朝のやり取りは、最近の俺のオアシスとなりつつあります。



「あら、二人とも眠そうね。」



「んー!昨日は寝ずに宴会したんだ~。」



「ひかは途中寝てたけどな~。」



そう言うと緑川は、机に顎を置き顔だけを此方に向けてある。



「あれ?仁くん、絆創膏貼ってるけど……ケガしたの?」



「本当だ。気がつかなかったわ。」



蒸れて絆創膏貼ってるところが痒い。

ポリポリと掻いていたら、俺の首筋と鎖骨の絆創膏を見ながら、ひかが心配そうに聞いてきた。

姫も眉を寄せて俺に詰め寄る。



『ん?……蚊。』



「は?刺されて絆創膏貼らないでしょ。」



俺もそう思うよ?

でもね、兄貴が貼ってくれたんだからいいんじゃない?



ペリッと絆創膏を剥がされる。

姫とひかが首を傾げ、緑川が「あっ……」と声を出す。



「仁……それキスマークじゃない?」



『は?』



キスマークって……あの?



何故?知らないんだけど。



「ま、まあ。仁も高校生男子だしな、そ、そういうこともあるよな。」



目をギョロギョロと泳がせながら、挙動不審になる緑川。

吃り過ぎだし……。



「じ、仁っくん……ふぅ……っ、」



『……は?え?』



いきなりのことで、すごく動揺する俺。

ひかがいきなり泣き出したのだ。

ポロポロと目から滴が落ちる。



「落ち着けってひか!ひ、姫頼むっ!」



「え、ええ。ひか、おいで?」



「ふぅ……んっ……ごめっ……っ!」



俺が泣かしたの?

あたふたするしか出来なくて、



「仁っ!保健室で絆創膏貰いに行くぞっ!」



そのまま緑川に腕を引かれて教室を出て、保健室に向かった。






《仁side end》





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