第112話



俺たち3人は急いで部屋を飛び出ると、後輩二人は丁度仁の部屋のノブを握っているところだった。



問答無用で俺と虎は二人を締め上げる。



『お前ら、寝顔見ようとした?』



「…………。」



無言で腕の力を強める虎に、洸雅がギブアップと締め上げる腕を叩く。



「ぐっ……ぐるじ……、」



「龍も虎も……離して良いぞ。」



恭の言葉に素直に従い腕を離すと、二人は床に膝をついて噎せている。



「はあはっ……くっ……苦しかったぁ……マジで死ぬかと思いましたよ!死んだばぁちゃんに手招きされたんですからねっ!」



『良かったじゃねぇか。会えて。』



「……複雑です。」



普段はチャラいホストみたいな風貌の真守がいきなり老けたように見えた。



「はあ……いきな、いきなり何……なんすかっ……」



洸雅はもう呆れたように俺たちを見上げる。



「乙女の部屋に入るなんて……ね?……一変死んできてもいいんだよ?」



「何もしねぇっすよ!」



ひどいっす、と避難の声を出すが、



「当たり前だろ?でもさ…………寝顔見られるのですら許せないんだよね。何かあってからじゃ、駄目だろ?……俺を警察のお世話になんか、させないでくれよ?」



ブラックオーラ全開のシスコン男は一刀両断。

目がマジだった。据わっていた。

洸雅も真守も撃沈。

しかも、最後の辺りは俺を見て言うものだから口角がひくついてしまった。



……さっきの空気で忘れてた。



冷や汗が背中を流れる空気の中、その空気を打ち破った勇者がいた。




「……戻る。」





────俺の片割れである。






シスコン悪魔に装備なしで立ち向かう弟が勇者に見えた。






「ああ、そうだね。でも、先に戻っててくれる?仁の様子見てからすぐに行くから。」



シスコン悪魔は悪魔を仕舞うと、向かいの部屋に入っていった。

恭をチラリと見た虎は、そのまま階段を降りて行った。

そのあとをヨロヨロと3人で追うように歩き出した。





《龍side end》




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