第111話
「っ……ちょっ!やめろ!いててててっ!」
虎が恭を押さえ、俺がアルバムを奪い、虎にも見えるように広げる。
『「は?」』
1ページ目を見ると赤ちゃんの写真だった。
オムツを履いて、ベビーベッドで眠っている。
指を口でくわえているのが、また愛らしい一枚。
しかし、どう見ても
………………仁じゃない。
首を傾げながら、表紙を見る。
そこには“恭弥①”と書かれていた。
つまり、この写真に写っているのは恭。
恭は隙をついて虎の腕から逃れると、俺の手からアルバムを奪い取った。
「はい、終わり!下で皆待ってるんだから、今日はここまで!」
『おい!嘘付いたなっ!それに、さっきさらっと“添い寝”って言ったな。仁に変なことするんじゃねえよ!』
虎も恭を睨み付ける。
「俺は一言も仁のアルバムなんて、言ってないぞ?……ああ、勿論仁のアルバムもあるよ?でもっ!嫁入り前の大切な妹のアルバムは見せられませんっ!あと、俺はお前たちと違って下心がないからいいの。それに“仁のお兄ちゃん”だから。」
『チッ……嫁入りすれば見せるのか?』
それを言われたら、言い返せない。
「……嫌だ。」
アルバムを抱き締めながら、嫌々っと首を振る。
「汚ねぇぞ。」
「………………ああ…………いいぞ?」
珍しく虎が恭に反論したのに、恭は暫し考えてから嫌々な顔をしながらも、了承する。
本人は無意識なんだろう。
虎の性格や言動が仁に似ているからなのか、恭は俺に比べて虎に甘い時がある。
「男に二言はないからな。」
再度虎が約束を取り付けると、恭は頷いたが
「手に入れられたら……ね?」
にやりと笑って俺たち双子を挑発する。
『絶対負けねぇから。』
「……俺も。」
話に夢中になりすぎて、上がってくる音を聞いていなかった。
俺たち3人が睨み合う中、誰かが遠慮に部屋のドアを開ける。
「失礼しまーす。……失礼しましたー。」
静まり返った部屋に外の後輩2人の声が聞こえる。
「真守さん、どうしたんすか?」
「いや、すげぇ入りづらい。……洸雅行けよっ!」
「えー!何か嫌っすっ!」
「後輩だろっ!」
「こんなところで先輩風吹かせないで下さいよ~!」
「俺やだ……お前行けよっ!」
「お前行け」「嫌っす」、と言う会話が繰り広げられている。
……何故そんなに嫌がるんだ。
「え゛!……3人とも何やってるんすか?仁さんの様子見にきたんっすよね?」
「ああ!……そんじゃ、仁さんの様子でも見てみるか!」
「そっすね!」
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