第110話



『……部屋を出たら、二人に捕まりました。』



簡潔に述べ、キスマークのことは言えなかった。



「つまり何だ?寝ぼけて意識ない仁を襲ったってことか?」



『……はい。』



「龍……歯ぁ食いしばれっ」



バキィッ ドカッ



それはもう思い切り、手加減なしで殴られました。

殴られて飛んでいった先にあったベッドに頭を打ち付けた。

柔らかくても、跳ね返って逆に痛い。



『いっっ!』



「龍も虎もよく聞いてほしい。自分の気持ちも伝えなもしないで、仁に手を出すな。……真正面からぶつかれないのに、どうやって仁を幸せにするつもりだ?俺も叔父さんも、仁の幸せを願ってる。……仁を傷つけるようなことだけはしないでくれ。」



苦しそうに顔を歪めた恭。



…………恭の気持ちが痛いほど伝わる。

ずっと一人で仁を守ってきたんだ。

だから、こいつについて行こうと思ったんだ。

芯あるの強い心、器のでかさ、同じ男として尊敬している。



『……ごめん。……仁を一番に考える。』



「……ごめん。」



虎もこの前のキス未遂のことを思い出しているのだろう。

俺と同じ気持ちのはずだ。



「……分かってくれたならいいよ。」



そう言うといつもの爽やかな笑顔を見せた。



『恭。聞きてぇことあるんだ。……昨日何かあったのか?』



「……ん。」



それ、仁みたいになってるから。



「……仁が、あいつの夢見たって……」



「…………。」



『……なんで』



虎も俺も驚いて、そう言うだけで精一杯だった。



「分からない。それも久しぶりに見たらしくて……精神的にいっぱいいっぱいになっちゃったみたいで。過呼吸起こすし、真っ青になってご飯も吐いちゃったりで……夜には良くなったみたいだけど。」



…………そんな時に俺は。



『はあ……俺何やってんだろ。』



自分で自分が嫌になる。

最低だな。

自己嫌悪に陥っていると、虎が恭に聞いた。



「寝れてるの?」



「昨日は姫ちゃんが泊まってくれたし、今日は俺が添い寝したら寝れたみたい。……さっきも魘されてたんじゃないかな?」



『それでベッドから落ちたのかもな。それに汗もかいてたし。』



……胸騒ぎがする。



恭も虎もそう感じているだろう。

暫くは、様子見だな。



『あ、恭!写真見せろよ。』



「は?嫌だよ。」



『虎』



俺の言いたいことが分かって、虎が恭を押さえつける。




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