第109話



2階に行き、仁の部屋へ迷うことなく入った。



『仁っ!!』



「……ん?…………りゅーちゃ?」



仁は床に転がっていて、寝ぼけているのか、舌っ足らずになっている。

急いで駆け寄り、横抱きにしてベッドに戻す。



『落ちたのか?どっか打ったか?』



「んー?……んー。」



怪我しているところがないか見ていると、すりすりと俺にすり寄ってきた仁。

それだけで俺の理性がギリギリになる。



…………可愛い過ぎる。



目がほとんど空いていなかったから、ほぼ寝ている状態なのかもしれない。

潤んだ目で俺を見てから、ふにゃっと笑う。



『仁……。』



駄目だって分かってる。

手を出しちゃ駄目なのも。

それでも、普段は甘えない大好きな女に甘えられたら、我慢できなくなった。

良い大人になっても、恋愛に関してはガキ同然。



『仁……。』



「ん?……ん……っ」



次の瞬間には、仁の唇に自分の唇を重ねていた。



チュッ チュッ



「んっ……んんっ……」



何度も角度を変えながらキスをする。



…………甘い。



甘いものは苦手なのに、仁の甘さならいくらでも味わいたい。

一度唇を離すと、彼女は大きく息を吸い込む。

舌で彼女の唇をペロッと舐めると、彼女の舌に自分の舌を絡ませる。



「っっ……、んっ……んぁ……、はぁ……んん……」 



鼻にかかる甘く濡れた声がまた俺の理性を奪いに来る。



ギシッ



馬乗りになり、彼女の口内を犯す。

部屋の中にお互いの唾液が混ざる音と彼女のくぐもった声が響く。

唇を離すと、銀色の糸が間に出来る。

それを舌で絡めとる。

その舌を彼女の白い肌に這わせていると、汗すらも甘く感じる。

首筋と鎖骨の辺りに吸い付いて、痕を残す。



…………俺のもの。



小さな赤い痕を見て、所有欲が満たされる。

入学祝いであげたネックレスをつけてくれているのを見つけて、嬉しいと思った。

心臓を強く握られたような、浮き足立ったソワソワした感覚が心地よい。

ネックレスを指でなぞると、仁は擽ったいのか小さく身動ぎをする。

本当に自分のものになったのではないかと錯覚しそうになる。

もう一度、彼女の唇にキスを落とす。

リップ音が二人だけの空間に大きく鼓膜を揺らす。



「ん……やぁ……んっ……」



彼女の目から涙が溢れたのを見て、我に返った。





…………何してた?







──────仁が泣いている。




慌てて仁のはだけた服を整え、頭を撫でる。



『ごめん……。怖かったよな……ごめんな。』



少しするとすうすうと、規則正しい寝息をたて始めて安心した。

涙の痕を拭き取り、手を握る。



『仁……愛してる………。』



拒絶されるのが怖くて、起きてる彼女に言えない臆病者だ。

どうすれば、俺のことを男として見てくれるんだ?



「スー……、」



スヤスヤと無防備に寝る仁の頭をもう一度撫でると、部屋から出た。






──────

───




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