第104話



『……あ、ああ!でも、今日はもう元気になったから大丈夫。』



虎が目の前で手を振っていたのを見て、意識が現実に戻ってきた。

つい昨日のことを思い出していた。



恐怖で身体を震わせながら過呼吸になった仁。

食べ物も吐き出すし、一人で寝れなくなっていた。

実はさっきも仁が寝るまで添い寝していた。

本当は俺も隣で寝るか、姫ちゃんがいてくれた方が安心するけど。

姫ちゃんの家族も心配するからね。



龍と虎はもっと詳しく話せと目で訴えてくるが、言うのが躊躇われる。

こいつらにも、思い出させることになる。



『生徒会に体験で入ってるんでしょ?疲れが溜まってたんだよ。慣れない環境に必死だったんだと思うよ?』



「確かに仁さん休まず来てますもんね。……今日は6限までサボってましたが……あ!これ言わない方が良かったのか!」



酒が入って、周りが気の許せる奴だけだと安心していた真守は、口を滑らせてくれた。



『そっか……よく言っておくよ。』



「ご、ごめんなさい!!仁さんにチクったってキレられるっ!うわぁーーーっ!」



ガンッ



テーブルに思いっきり額をぶつけていて、大きな音がなっていた。



…………痛そっ



顔をあげた真守の額は真っ赤になっていた。



「こんなの……仁さんにキレられるのに比べれば……屁でもないですよ。」



さすがに目が据わっているこいつが可哀想だった。

俺にだって良心もある。



『う、うん。今回は見逃すことにするよ。』



「ほ、本当ですか!」



回復した真守は、俺たちに酒のおかわりを注ぐ。



「乾杯~っ!」



調子の良い奴だよな、と笑っていたら「あっ!」と真守が声を上げた。




「そういえば、そいつに仁さん紹介した時変なこと言ってました。……いや~その時は、何とも思わなかったんですけど、後から思い出してあれ?って思ったんですよ。」



『何て言ってたの?』



「…………なんでしたっけ?」



おい!そこ重要だろ!



『思い出せ』



「う゛――……思い出せないです。あれ?」



「仁に聞いてみればいいんじゃねぇか?」



「すみませんっ!」



龍の言う通りだな。

明日にでも聞いてみるか!





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