種目決め

第97話



《仁side》



今は6限が始まる数分前。



「あ!仁くん!姫!おそよ!もうこんにちはか!」



「よおっ!今まで何処いたんだよー!」



クラスに入るとすぐにひかと緑川が声をかけてきた。

昼にもいなかったから、今日はこれが初めて会うことになる。



昼に一度帰ってきた時もそうだったけど、クラスの皆が俺の顔色を伺うようにしてくる。



何処で聞き付けたのか、先ほどの先輩たちがやって来た。



「……仁くん!さっきはごめんなさい!」



「……体調悪かったのに」



「ん?なんかあったの?姫~?」



『……俺じゃなくて、他に言う人がいるんじゃない?』



「あ……青井さん……言いすぎたわ。」



「ご、ごめん……なさい」



「……はあ」



姫も困っている。

内心、俺に言われないと謝らないのか、と呆れているのだろう。



『ん』



姫の頭を撫でたら、先輩たちの鋭い目がきたが、すぐに俺を見るとさっきの言葉を思い出したのか俯いた。



俺の顔も怖くなってしまっていただろう。



「今後何もなければ大丈夫です。」



姫の言葉にもう一度謝罪した先輩たちは、帰っていった。





クラスがシーンとした空気になる。

その空気は男女ともに人気者な緑川の陽気な声でなんとか元に戻り、真守と若い男が来たことで6限のホームルームが開始された。



学級委員長が前に出て、司会進行していく。



学級委員長───雨宮 櫻子(あまみや さくらこ)

実は先程、真守に朝の俺たちがいなくなった教室内で、怒っていた先輩たちを宥めてくれたのは委員長だったらしい。

最近委員長のことを姫から聞いていたし、後でお礼を言わないとね。



「それでは、これから体育祭の種目決めを始めます。種目は、黒板に書いてある中から一人2つ、このクラスは一人他のクラスよりも少ないので、一人だけ3つになります。まず、誰が3つ出るのか決めたいと思います。自主的に手を挙げてください。」



誰も手を挙げる人はいない。

シーンとしたまま数分が経った。



「えーっと、推薦とかでも……」



「はぁーい!」



クラスの派手なギャルが手を挙げた。

なんか嫌な予感がする。



「伊東さん、どうぞ!」



「えっとぉ、青沼ちゃんがぁ良いと思いまぁすっ!」



「えっ!」



面倒だからひかに押し付ける気なのだろう。

後ろから困惑した声が聞こえる。



「だってぇ足早そうだしぃ?あはぁっ」



周囲の女子からもくすくすと笑い声が聞こえる。




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