第95話
《悠真side》
只今中庭で幼なじみ二人を待っている。
今日は天気が良いから木の上で寝ていた。
そしたら校舎内が騒がしくなり、「仁くん!仁くん!」と聞こえた。
少しすると今や学校内で有名人の白石仁と青井姫乃だった。
なかなか会う機会がなかった二人がやって来たことに驚いたのと同時に嬉しくなった。
さすがに「誰?」って言われた時はショックで倒れるかと思った。
俺は仁のこと、一度たりとも忘れたことなんてなかったのに、仁は忘れちゃったの?
まあ、仁からしたら俺はただの幼なじみ。
でも、俺からしたら幼なじみでもあり、初恋の相手でもある相手を忘れたりしない。
胸が張り裂けそうだった。
結果的に思い出してくれて、3人で昔みたいに話すことが出来てすごく懐かしく感じた。
いつもは俺が入っている【白銀】のメンバーでお昼を食べる。
しかし、一心たちの幼なじみである青沼ひかりが入学して姫になってからはあまり一緒に居なくなった。
倉庫にも行く回数は減り、行っても寝ているぐらいだ。
女の人が怖い。
これは仁と姫にしか言ったことがない。
俺の過去を聞いても傍にいてくれた二人は、俺の大切な人だ。
引っ越ししてから、一心たちの幼なじみメンバーといるが、お互い深く関わることもない。
青沼ひかりのことが嫌いってわけじゃない。
2年一緒にいて、良い奴だと知っている。
だからと言って好きでもなく、積極的に関わりたいとも思わない。
あいつらとは自分でもよく分からない曖昧な関係だと思う。
「おまたせ~」
仁と姫がお弁当を片手に駆け寄ってきた。
『待ってた~』
3人でベンチに腰かけて、ご飯を食べる。
二人のお弁当は同じだった。
『誰が作ったの?』
「ん?恭さんだよ!ほっぺた落ちそうなくらい美味しい!はるはるも食べる?」
仁の兄貴である恭さんか。
あの人は俺の憧れでもある。
強くて器のでかい人。
仁のことになるとシスコンぶりが面白い。
「ん」
仁が箸で卵焼きを掴むと俺の口元へと持ってくる。
…………小悪魔なのかなこの子。
間接キスになりますよ?
「食べる?」と首を傾げられたら、きゅんきゅんします。
そんなことされたら食べるに決まってる。
『あ~んって言って~』
「…………あ?」
『ああ!ごめんごめん~。食べたい~!』
箸を遠ざけられてしまって、危うく食べ損ねてしまうところだった。
あーんとは言ってくれなかったけど、食べさせてくれただけ良いか。
だしが効いているさっぱりとした卵焼き。
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