第93話



「二人とも久しぶり~。……仁~もしかして見惚れてるの~?」



『……誰?』



名前を言えよ。

相手が自分の名前知ってるのなかなか怖いぞ?



「嘘~!ひどいな~。俺だよ~俺~」



新手の俺俺詐欺ですか?



「仁分かった?」



『……んー?』



姫が小声で話しかけてきたが、思い出すことはできない。

二人で首を傾げて捻り出そうとしたが、全く分からなかった。



ん?待てよ。

このゆる~い喋り方。くせっ毛。

口元のほくろ。



もしかして…………



『…………くれはる?』



「くれはるって、はるはるのこと?」



「ピンポ~ン!大正解~!仁~、姫~おひさ~」



「はるはる!久しぶり~」



幼なじみで中学2年の時に転校した、紅 悠真だった。

あだ名は、俺はくれはる、姫ははるはると呼んでいた。

髪型と髪色が以前と違うせいで、雰囲気が大分違う。一目で分からなかった。



『……久しぶり。』



「えへへ~やっと会えた~」



「やっとって?」



「二人がいるのは知ってたけど~タイミングが分かんなくて?」



なんだそれ。

相変わらずふわふわしてる不思議くんだ。



「またよろしく~」



「ふふふっ……また幼なじみが揃ったわね。よろしくね!」



『……ん』




くれはるは俺と姫よりも一つ年上で、俺が龍ちゃん家の道場とは別にもう一つ通っていた道場で知り合った。



会った瞬間抱きつかれて大変だった。

初めてあった人には猫のように威嚇するのに、何故か俺の時はなつかれたので師範が驚いていた。

なかなか剥がれなかったし。



姫には最初威嚇してたけど、それもすぐに無くなった。



基本気を許した人には甘えん坊。

昔から何処でも寝れるのが特技だから、今も木の上で寝ていたらしい。



「……二人の声が聞こえて~降りてきた~」



「落ちたら大変ね。……着地は綺麗だったわ。」



確かに。なんか猫みたいだった。



「二人とも見惚れてたしね~」



『は?』



それはねぇよ。

まあ、綺麗だとは思ったけど。



「嫌~仁怒んないで~」



「はははっ!なんかこのやり取り懐かしい~!」



姫が笑い声をあげていて笑っているのを久しぶりに見た。

それに連れてくれはるも笑っている。



『ふっ』



「仁が笑った~」



「あら、本当ね~」



姫がくれはるの言い方を真似して言うのを、くれはるが口を尖らせて似てない~と否定するが、似ていた。

前よりも上手くなったように感じる。

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