第92話



「あんたなんかいらないのよ!」





────“あんたなんか産むんじゃなかった!”





「消えてっ!」





────“あんたは要らない子よ!”





「黙ってなさいよ!」





────“ああ鬱陶しい!!あんたの声なんて聞きたくない!”





「邪魔なのよ!」



『うるせぇ』



いつもより数段低く唸るような声が出る。

一瞬にして教室内の温度が下がる。



「っっ!?」



「じ、仁……くん?」



『……お前らが黙れよ。』



「じ……んくっ!」



『…………これ以上姫に暴言吐くならその綺麗な顔……どうなっても知らないよ…………姫いくぞ。』



ついには、ピリッとした空気に変わった。



「う……うん……」



姫の腕を引っ張り、教室を後にした。





───────

    ───────




何も考えずに足を動かし、中庭と思われる所に出た。



「仁っ!」



『……。』



姫の声を聞いて我に返り、目の前のベンチに腰かけた。



ああ、俺の一言でまた姫が孤立してしまう。

これは中学の時にもあった。



『ごめん』



「ううん。ありがと!やっぱり仁は私のヒーローだね!」



花の咲くような笑顔で俺に抱きついてきた。



『ん』



「仁が謝ることじゃないよ。私のために言ってくれたんでしょ?嬉しいよ!」



『ん』



姫が喜んでくれたなら良かったのかな。

姫の頭を撫でていると真上の木の枝がガサガサと大きく揺れる。



「『ん?』」



そしていきなり、木の上から人が降りてきたのだ。



……なになになにっ!?人!?



俺と姫は木と降りてきた人を交互に見るのだけが、精一杯だった。



「だ、誰ですか。」



「……あれ~?仁~。姫乃~。」



……え、誰?



振り返った人は、これまた美男子。

銀髪のくせっ毛がふわふわと風に揺れている。



その光景に思わず目を奪われてしまった。









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