第90話



『あ………なんで女って』



「ああ、そのことか?そりゃあ、可愛いからな~。」



おどけたように言ってきたが、真剣に聞いてるのにと思って口を尖らせた。



「くっくっくっ……悪い。冗談じゃねぇけど、真面目に言うとだな……俺が人生経験豊富だからな。」



それは女性経験のことですね。

モテるだろうからそりゃあそうだろうけど。



「かみさんに会ってからは、かみさん一筋だから。」



やはり女性経験のことでした。



『……何歳なの』



「んー42歳だっけか。実は仁くらいの倅がいるんだ。」



30代くらいだと思ってたけど、40代なのか。

息子がいるようには見えないな。



「仁は北校だろ?倅も北校でな。今度紹介してやる。」



『ん』



ひーくんの息子なら会ってみたい。

こんな格好いい親父がいるって羨ましい。



「お!迎えが来た。じゃあな。気ぃつけて帰れ。」




『……ありがと』



「おう。」



頭をくしゃっとされた。



手を振ってお見送りをして、俺も家に帰ることにした。





───────

────






家に帰ると、姫がお見舞いに来てくれていた。



夜ご飯のお粥を吐くことなく食べられた。



少し心がすっきりした。

ひーくんのお陰だ。



俺の好きなヨーグルトアイスを買ってきてくれて、甘くて冷たいものを食べたおかげで気分が晴れた。



姫がぎゅっと抱き締めながら寝てくれて、また夢を見るんじゃないかって寝るのが怖かったけど、朝起きると頭がすっきりしていた。




ピピピッ ピピピッ ピピ……ガチャンッ




『ふぁぁぁぁ』



「ん……おはよ」



『……んー』



姫に向かって頭をぐりぐりする。



「ふふふっ。朝から甘えん坊ね。」



トクンッ トクンッ トクンッ



…………落ち着くけど、また眠くなってくる。



「少し顔色良くなったけど、まだ悪いわね。……休む?」



『…………大丈夫』



別に風邪な訳じゃない。

精神的なものだ。

頭もすっきりしていて気分も良い。

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