第86話



「えーっと……伊東さんどうぞ。」



座席表とにらめっこして、伊東さんに微笑みかける。



「はぁい!伊東かなです!かなって呼んでくださぁい!えっとぉ、先生彼女いますかぁ?」



甘ったるい声で、どうでも良い質問をする。



「……いませんよ。」



……時間の無駄。どうでもいいんだけど。



眠くもないから寝れないし、暇だ。



ぼーっと窓の外を見て時間を潰す。



教室内では先生に質問タイムになり、主に女子がたくさん質問していた。



それを左から右へと聞き流す。



「あの、名前と顔を確認したいので、自己紹介をお願いしたいのですが……。」



「そうですね。天野から順に簡単な自己紹介を頼む。」



…………また自己紹介。



そして、女子は一人一人アピールの言葉を言う。

学級委員長だけは、真面目に自己紹介していた。

ガリ勉、根暗、と呼ばれているが、周りが派手な人なだけだ。

関わってみると、明るくて面白い人だ。



私が仁とひかと亮以外では、委員長としかクラスで話していない。



おさげで前髪が少し長く、メガネをしているが、実はすごく綺麗な顔をしている。



なんでも男子の隠れファンが多いのだと亮が言っていた。



そして、私の番になった。

面倒くさいな。入学式の日に言ったのに。



『青井姫乃です。よろしくお願いします。』



一応礼儀としてよろしくお願いします、は言わないとね。



「青井さん、よろしくお願いします。」



ひかも終わり、最後の亮まで終わった。



「白樺先生。緑川くんの前の席は……白石“さん”で良いんですか?」



「ああ、今日は体調不良で休みだから。」



「そうなんですか……また今度挨拶します。」



……ん?なんだろう。

今変な違和感があったような……?

気にし過ぎかしら。










この時の




ぼんやりとした違和感について




もっと気を付けるべきだった









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