第85話



二人が傷ついてしまうかもしれない。



「ひか~電話してみればいいじゃん?」



「えっ!えぇぇ!む、無理だよ!緊張するぅぅっ!」



『頑張って、ひか。昼頃なら起きてるだろうから。』



仁が女って言った方が良いのよね。

でも、これは私の口から言うものなの?

信じてくれるか分からない。

絶対に冗談だって思われる。



……仁がんばっ!



「め、迷惑じゃないかな?」



『大丈夫よ。気楽に電話すればいいのよ。』



「姫は……幼なじみだから……緊張しないだろうけど……わ、私……はっ初恋だし……うぅぅ」



初恋のところは聞き取れないほど小さな声だった。



……HATUKOI?ハツ、こい?初恋!?



『えぇぇっっ!!!!はっ……うぐっ』



「いっ!言わないでぇ!」



思いっきり口を両手で塞がれた。



……い、息が



「ひかっ!姫が死ぬ死ぬ!!」



「はぅあっ!ごめんっ姫!」



この子結構力強いわ。

全然外れなかった。

息できなくて本当に死ぬかと思った。



『はぁ……だ、大丈夫……』



「うぅぅぅっ、ごめんなさい。」



しょんぼりして俯いてしまったひかの頭を撫でる。



こういうひかみたいな子のことを保護欲を掻き立てられる、って言うのね。

なんだか小動物みたい。



『ふふふっ、大丈夫よ。ただ……力強いのね。』



「そ、そうかな?」



亮を見ると視線をゆっくりと斜め上に向けた。



……どうやら幼なじみたちも知っている事実のようだ。

本人が自覚してないって一番危なくない?



今度握力測定させようと思った。



話している内にホームルームの予鈴が鳴る。

予鈴が鳴ると同時に真守さんが入ってきた。

その後ろから、見たことのない若い男の人が入ってきた。

それによって、ざわざわとする教室内。



「はーい静かにー。……このクラスの副担任の先生を紹介する。先生、さっそく自己紹介をお願いします。」



「はい。このクラスの副担任になりました、東山 豪(ひがしやま ごう)です。訳あってこの中途半端な時期に赴任してきましたが、よろしくお願いします。分からないことだらけなので、色々と教えてください。」



にこやかに挨拶をした先生を見て、女子の黄色い声が上がる。

これまた隣に並ぶ真守さんに負けず劣らずのイケメン。



身長は180㎝位で、スラッとしていて、黒髪、メガネで優男って言葉の似合う甘い顔をしている。



「質問いいですかぁ?」



クラスの派手なメンバーである、伊東さんが手を挙げる。





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