第83話



ひかが電話してくれたおかげで、元気を貰えたように思える。

姫以外に友達がいなかった俺には、ひかとどう接すればいいのか分からない時がある。



そして、今まで感じなかったこの罪悪感。

俺は、友達を騙していることになる。

女として学校に入学していても、俺の格好はどう見ても男だ。

中学の時、まだスカートを履いていた俺は女装しているとからかわれたりもした。

つまり、どんな格好をしても男に見えるらしい。



ひかは俺のことを男と思っているのだろう。

友達を作る気がなかった俺は、自分が嘘をついて騙していることになるのが、今更ながら心苦しく感じる。



いつか言えるだろうか。

俺は女だと。

受け入れてくれるだろうか。

拒否される?気持ち悪いと言われる?



正直、怖い。

友達関係で悩むなんて思ってもいなかった。

言えたらいいなって素直に思う。



「仁。」



扉をノックする音と共に兄貴の声がした。



『兄貴……』



「起きてたのか。ご飯食べられる?うどん作ったんだ。」



『……ん。りがと』



扉を開けると、美味しそうな熱々うどんを持った兄貴がいた。

机に運んでくれたうどんを食べてみたが、結局また吐いてしまった。



『……ごめ』



「いいよ。仁のペースでいいんだよ?夜はお粥にするから、まだ寝てな。」



頭を撫でてくれる兄貴に甘えて、添い寝をお願いする。

こんなお願いはしたことないけど、兄貴は快く了承してくれた。

兄貴の温もりを近くで感じられて、手を握ってくれた朝よりもすぐに意識を手放した。





《仁side end》





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