第66話



「ばいばい。」



『……ん。』



姫を家まで送り、家に帰った。



「仁!スーパーに買い物行ってきてくれないか?」



『……ん。』



「これに書いてあるやつ頼んだ!悪いな。ストック無くなってて。あっ、急がなくて良いから気をつけてね!」



そう言うと、買う物が書かれた小さい紙と財布を渡された。

財布と紙をポケットに入れると店を出た。



夜道を歩きながら、上を見ると点々と星が見える。

こうしてゆっくりと外を歩くことも久しぶりだ。

急がなくて良いなら、寄り道がしたい。



スーパーの近くの公園に向かう。

昼間は、子供が多く遊具もたくさんある。

しかし、夜は人がいないからゆっくりと一人になれる穴場である。



久しぶりに滑り台に登ってみる。

小さい頃高く感じていたのに、大きくなってから登ってみるとああ、こんなものだったのかと少し寂しく感じる。



滑り台を滑ると、砂場の所に行く。

鉄格子で囲われた砂場の中は、思っていたよりも狭く感じた。

泥団子を作っては兄貴に渡して、食べる真似をしてもらっては喜んでいた気がする。



砂場を出て、ブランコを漕ぐ。



キィコキィコ、と ブランコ特有の音が懐かしく感じる。

少し漕ぎながら、ぶらぶらと足を振る。



『……。』



「……ふはっ」



『ん?』



今誰か笑った?



「くっくっくっ……お前変な餓鬼だな。」



『……誰。』



笑われた上に変な餓鬼なんて言われたら、いい気分じゃない。

ブランコ漕いでただけだもん。

変じゃないし。



「ああ。悪いな。」



そう言うと、陰になっているベンチのあるところから着物を着た30代くらいの男が出てきた。



……マジで誰だよ。



『……。』



「そんなに警戒するな……くっくっくっ」



おじさんは此方に近くと、隣のブランコに座った。



「公園のベンチで座ってたら、お前が来たんだ。……そしたらっ……ふっ……遊具で遊び始めてなー。」



『……悪い?』



笑わなくていいじゃないか。



「悪い悪い……いやな?高校生が制服で夜の公園でしかも、一人で静かに遊びだすのを見たらなかなかシュールでなー。ああ、それがいけないなんて思わないぞ?俺の中でツボにハマっただけだ。……なんか可愛くてな?」



男は小首を傾げて俺にごめんな?と謝ってくる。






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