第54話



姫を家まで送り、家に帰って即風呂に入っている。

今日は、入浴剤を入れて湯船に入っていた。



今日1日で色んなことが起こりすぎて疲れた。



帰りに姫に灰原をどう思うか聞いたら、「特に何も。……よく知らないし。」と言う淡白な返答を頂いた。

そりゃそうだろう。

今日で会うのは2回目。

知らないのは当たり前。

ただ、興味がないわけではないようだ。

気にならないと「興味ない」とか「どうでもいい」と言う。

様子見ってことか?



あー、逆上せそう。



風呂から出ると、スウェットを着てキッチンに向かう。

冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだし、一気に半分ほど飲み干す。



「お帰りなさい。」



『ん……お疲れ』



兄貴はお店から上がってきた。

あ、兄貴は叔父さんのこと知ってるのかな?



『叔父さん、理事長。』



「ああ、秀さんに会ったの?言ってなかったな。なんでも、知り合いに頼まれたらしい。あの人何でも出来るからな~」



思っていたよりも軽い返答だった。

教えてくれよ……。



それからは、俺も店の手伝いでキッチンでおつまみを作ったりしていた。



「よお!」



「おう。いらっしゃい。」



「スコッチな。」



「はいはい。」



声ですぐに分かる。龍ちゃんだ。

龍ちゃんがいると言うことは、虎くんもいるのだろう。



洗い物やおつまみを作ったりなど、せっせと働いていると、少し経ったくらい。



「……仁は?」



「ああ、仁なら裏でおつまみ作ってるよ。」



「坊?」



虎くんがやってきた。



『ん?』



「学校はどう?楽しい?」



『……んー』



「……友達、出来た?」



『ん』



そういうと普段は無表情な顔を、少しだけ口角を上げて柔らかい表情になった虎くんは、俺の頭を優しく撫でる。

虎くんの笑顔につられて、俺も少し照れ笑いをした。

きっと、心配してくれていたんだろう。

虎くんと龍ちゃんとは、幼なじみ。

姫とも幼なじみだ。

皆、俺のことを大切にしてくれてるのが伝わる。

心がじんわりと温かくなった。



しかし、次の瞬間。

何の前ぶりもなかったのに、目の前には黒いTシャツ。

男物の香水の香り。背中に回る腕。



『……ん?』



あれ?

何故か虎くんに抱き締められている。









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