第53話



恋をするのは、自由だ。

人の恋心をとやかく言えるわけがない。

これからも、姫と二人とは言えない。



姫も恋をするだろう。

そうなったら、俺はそいつに姫を渡すだろう。

しかし、姫を託せるかどうか、見極めなければならない。



姫の意思を大切にしてくれる奴。

姫を守れる奴。

また、姫が傷付かないように……

それまでは、俺が姫を守る。



灰原はどうだ?

まだ分からないことだらけだ。

俺が難しい顔をしていたからか、姫が心配そうに顔を覗き込んできた。

゛大丈夫〝と伝えるために、姫の頭を撫でる。

ふわりと安心したように笑った姫。



「まあ、もう少し考えていけばいい。俺たちはあまり学校にはいないが、困ったときは電話してくれ。もう少しすれば、家に帰れるようになるだろうし。お前たちの周りには、たくさん仲間がいるだろ?一緒に笑って、一緒に悩んで考えてくれる。もっと、周りを頼れ。……頼って良いんだよ。」



そういった叔父さんは俺と姫の頭を撫でると、ぎゅっと抱き締めてくれた。

安心する。

全てを包み込んでくれるような感覚になる。



知っているよ。

俺たちは仲間に恵まれている。

兄貴に龍ちゃん、虎くん、真守、それから兄貴の悪友たち。

皆、絶対に力になってくれる。

心優しい人たち。



でもね、怖いんだよ。

迷惑をかけるのが、嫌われてしまうのが。

怖いから、頼れない。



……自分たちでどうにかしないと。



大丈夫。大丈夫。

もう、あの時よりも強くなった。



大丈夫。大丈夫。



───────

───────



「またな。いつでも連絡してくれ。」



「では。お二人とも、ご無理はなさらぬよう。」



叔父さんは手を振って、吏王さんは深々とお辞儀をしてから、優しく微笑んでお見送りしてくれた。



「はい!ありがとうございます!失礼しました。」



『ん……ありがとう』



姫も吏王さん同様お辞儀をしていた。



もう、新入生歓迎会を終わっているだろう。

結構長く話し込んでいた。



そして、荷物を持つと学校を後にした。





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