プロローグ3
《恭弥side》
今日は俺の大事な大事な仁の入学式。
8時になっても降りてこない仁を起こそうか迷っていた。
なんせ超低血圧な仁は朝に弱い。
人に起こされると、超不機嫌になる。
舌打ちをして、人一人殺せるような鋭い目付きで睨んでくるのだ。
普段は可愛いのに、寝起きは凄く凄く怖い!
それでも、今日は入学式。
高校生活を楽しんでほしい。
あそこは俺らの母校で、教師とかに友人が多いし、後輩たちもいる。
だから仁の入学式には参加できない。
可愛い可愛い仁の入学式には、ビデオを撮りたかった。
変装でもしようかと思っていたところを龍と虎に止められ、渋々諦めた。
そんなことよりも、仁を起こさないといけない。
初日に遅刻はまずいだろう。
「恭。」
仁を起こしに2階にいこうとしたら、龍に名前を呼ばれる。
手招きをされたので、龍の方へと近づいていく。
『何?』
悪友が小さく円を作り、固まって何やら話し込んでいる。
…………近くねぇか?
そんなことを気にしていない奴等は、俺をその円の中に引っ張りこんで“ある計画”について説明された。
『いいじゃん。』
ついついにんまり笑ってしまう。
良い仲間を持ったな。
本当に良い奴等だよ。
それからはさらにその“計画”の話を進めていく。
そうこうしている内に9時になろうとしていた。
あ……仁を起こすの忘れてた。
2階に行こうとすると、階段を下りてくる音がして、降りてきたんだと分かった。
『おはよう。』
ごめんな。
起こすの忘れてた……。
それから、珈琲を入れる。
目の前に座っている仁は、龍と話している。
真新しいその制服は、見慣れたもので。
ああ、仁も高校生か……と思った。
俺と仁は今3人で住んでいる。
寂しい思いも、辛い思いもさせてしまった。
小さかった仁の手を握って、この子は俺が守ると決めたあの日から随分と経った。
仁は、不器用だけど優しいからいつも自分より俺や唯一の友だちで親友の姫ちゃんを優先する。
龍の言った通り、高校では友だちを作って高校生活を満喫してほしい。
恋人とか作っちゃうのかな。
兄ちゃん寂しいな……。
目頭が熱くなって、必死に目に力を込めた。
仁には、幸せになってほしい。
それだけが俺の願いだ。
仁が珈琲を飲んでるのを見届けながら、感傷に浸っていた。
それから、ドアに向かう姿を見て、見送るためにカウンターから出る。
『いってらっしゃい!!』
「……いってきます。」
仁の背に手を振る。
基本「ん」だけで会話を済ましてしまう仁。
もう喋って良いんだよ、と言っても、「面倒くさい」と返ってくる。
そんなところも可愛いんだけど。
「ん?」と小首を傾げる仕草とか、破壊力抜群だ。
美形で何もしてなくても、色気が駄々漏れだから、よく男にも女にもナンパされそうになる。
皆、間近で仁の顔を見て、顔を赤らめたり鼻血を出したりと反応は様々だ。
お兄ちゃんは心配です……。
こんなだから、過保護だの゛____〝とか言われるんだよな。
『よし!準備すっぞ!!!』
「「「「「「おお!!!」」」」」」
俺たちは“計画”の準備を急ピッチで進めるため、動き出した。
《恭side end》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます