プロローグ2



「おはよ、仁!お前今日入学式じゃなかったか?」



後ろから手が伸びてきて、俺の頭の上にその手を置く。

この人は兄貴の悪友の一人───龍ちゃん。

ワイルド系イケメンで、俺の憧れの人だ。



『……ん。』



「寝坊か?」



『……ん。』



「初日からとかこれから学校大丈夫か?そんなんじゃ、ダチも青春もできねぇぞ。」



呑気にケラケラと笑っている龍ちゃんをムッとして睨み付ける。

俺は他人から見たら無表情に見えるらしい。

でも、家族と龍ちゃんと龍ちゃんの双子の弟、あと幼なじみで親友2人だけは俺の些細な表情の変化を分かってくれる。

青春なんて興味ない。ダチは親友がいてくれれば良い。



「坊。」



呼ばれたので後ろに振り向くと、龍ちゃんの横に目を向けた。

兄貴の悪友で龍ちゃんの双子の弟───虎くん

顔は似ているが、性格が正反対。真逆と言っても過言ではない。

龍ちゃんは、頼れる兄貴肌で過保護だけど、虎くんは俺と同じで基本無口で無表情だ。

俺のことを“坊”と呼んでくる。

龍ちゃんと虎くんのお父さんが言ったのを聞いて、それの真似をしているようだ。



「……寝坊助。」



虎くんとはアイコンタクトで会話することが多い。

お互い口下手だからか、通じ会うものがあるのかもしれない。



『……るさい。』



次は虎くんにムッとして睨み付けた。



「「「「「がはははははっ」」」」」



いきなり後ろから、大勢の笑い声がして、龍ちゃんと虎くんの間から声のした方を見る。

そこには兄貴の悪友が全員集合していて、結構な人数がいた。

気づかなかった……影薄いな。

何にそんなに爆笑しているんだ?



「うるさ……影薄い」



俺が思っていたことを、そのまま口にした虎くんの言葉に同意と頷いた。

俺と虎くんの考えてることを感じ取ったのだろうか。



「「「「失礼なっ!!!」」」」



「「「「ひでぇぞ、二人とも!!!」」」」



全員でハモって怒っているふりをするやつ、泣き真似をする奴がいた。



「仁、コーヒー淹れたよ。あと朝御飯も。あいつらはほっといていい。急がないと姫ちゃん来るんじゃないか?」



「「「「ひでぇぇぇぇ」」」」



「「うるせぇ」」



兄貴と龍ちゃんに怒られて、他のやつらが黙った。

さすがだな。

まあ、確かにこの2人と虎くんは怒らせるとこえーからな。



そんなことより!

兄貴の言う通り急がないといけない。

俺からしたら、キレた親友が一番怖いのだ。



『………いただきます。』



まだ揉めている背後は無視。俺は朝御飯に手を合わせて、そんな俺を兄貴が笑顔で見守っていた。



今日の朝御飯は洋食だった。

トーストとスクランブルエッグ、サラダと果物。



『……ごちそうさま。』



「お粗末様。」



それにしても、もう約束の10分を過ぎている。

珍しいこともあるものだ。親友が約束に遅れるなんて。

遅れることは構わない。でも、何かあったんじゃないかと心配になる。

もしものことがあったらと思うと、居ても経ってもいられない。

よし、様子を見に行こう。



パーカーのフードを被り、パーカーの上からブレザーを羽織る。

鞄を持って、ドアに向かう。



「行くのか?」



またも私の頭の上に手を置く龍ちゃん。

これは最早、龍ちゃんの癖だ。



『……ん。』



「帰りは姫ちゃんとカフェに寄ってね!」



そう言いながら、兄貴がカウンターから出て、ドアの前まで見送りに出てくれた。



『……ん。』



「気をつけて。」



虎くんとのアイコンタクトには頷いておいた。



「「「いってらっしゃい!!」」」



「「「「いってらっしゃ~い!!」」」」



『……いってきます。』



ドアを開き、一歩を踏み出す。





この時の俺はこれから先の学校生活のことなんか、

全くと言って良いほど深く考えてもいなかった。





《仁side end》

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