第2話
その時、ふと自分が何を考えていたのか思い出した。
―――…そうだ、俺は今日死ぬんだ。
深夜に突っ込んできたトラックは元々俺に突っ込むはずだったものだった。
みんなの目には俺が彼を守ったと見えているのだろうか?
違う、のに。
元々、俺が今日死ぬはずだったから……誰も俺のために泣かなくてもいいのに。
―――…だから、泣かないでくれよ、蘭勝。
彼の涙を拭いてあげたくても、もう手を伸ばす気力もない。
ああ、俺は死ぬのか。
そう思うと、少しだけ怖くなった。
この世界で今まで色を映してくれていた紗綾に会えなくなるのが、怖くなってしまった。
今更、だけど。
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